アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
仏壇の前で
-
そんなこんなで、母さんの言葉を受けて、親父の遺影は決まった。
後で聞いた話だと、俺が生まれた時はそれこそ満面の笑みだったらしいが、写真に撮っていないそうなので実物は拝めなかった。想像したらちょっと笑える。
俺は昔を懐かしみながら、また遺影を眺めた。
「老けてんなぁ…」
27歳の俺の父親だから、生きててもそれなりの年にはなっただろうが、改めてみると妙に年を喰ってるように見える。
仏頂面のせいかもしんねえな…。
「なぁ、俺は親孝行出来てんのかな…親父」
心にもないことを呟く。
自分ほど親不孝な息子はいないな、と嬉しくない確信を持って、また遺影を見た。
初婚の遅い世相とはいうものの、すでに27歳。普通なら結婚とまではいかずともそれを視野に入れた相手が大抵の男にはいるはず。
「口が裂けてもいえないな…親父にだけは」
自分が受け持つ生徒と関係を持ってること。
その生徒が男子だということ。
そしてその子と付き合うのは、身内に抱いてしまった想いを忘れたいがための身代わりだってこと。
……ありのままの事実を並べてみたものの、勘当されてもおかしくないなぁ、これ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
54 / 105