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まどろみ
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泣きはらした目元にかかった髪の毛をそっとよける。
もう成人した自分や兄はまだいい。伴侶を亡くした母さんが一番辛いだろうが、この子達はまだ12歳だ。多感な時期に片親を失って、どれだけショックを受けたか。
『……歩』
起こさないように囁いて、頭を撫でた。柔らかい髪の毛がふわりと動く。
守ってやらなければ、と思った。
『ん…』
少し身じろぎしたかと思うと、歩がゆっくり目を開いた。
『――兄ちゃん?』
自分がどれだけひどい顔をしていたんだか、歩は少し体を起こして心配そうに顔を覗き込んだ。
とろんと下がった瞼の中に、泣いたせいで熱っぽい瞳が覗く。大きな瞳を物憂げに見せる睫毛が、ぱちぱちとゆっくり動いた。
『んっ…ぅ…?』
寝ぼけたままの歩に、気がついたら覆い被さって口づけていた。
歩がぼんやりと目を瞬かせる。何が起きているのか分からず、自分のなすがままにされている姿がたまらなく可愛かった。
舌を入れると、応えるように絡みついてきた。
『…ふぁ…ん…んっ…』
しばらく同じことを繰り返してから体を離して、そっと寝かせる。口の端から絡んだ唾液を垂らしていたのを指で拭って、また頭を撫でた。
歩はもう眠っていた。もともと疲れていたから、幾らか体力を使ってぐったりしていた。
多分、次に起きたらこれが夢だと思うはず。今はそれでいい。
『おやすみ、歩』
自分のしたことの重みくらいは分かっている。
でも今はまず、この小さな弟をゆっくり寝かせてあげようと思った。
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