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一卵性
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◇ ◆ ◇
この世に生まれた時から、いつも一緒の存在がいた。
どっちが兄で弟かは大した差じゃないけど、数分早いぼくがお兄ちゃんだった。ただ、昔の基準は『先に生まれた方が下の子』だったみたいで、やっぱりぼくらのどっちが上なんてのは、関係なかった。
食べるのも寝るのも、遊んだりするのも一緒。
着るものも歩幅も、怪我をするタイミングまで一緒で、近所では有名な双子の兄弟だった。
『あゆむ、ずっといっしょにいよーね』
『うん、ぜったいいっしょ!』
『ゆびきりげんまん、しよ』
ずうっと昔にふたりで交わした約束。
駆は覚えてないかもしれない、もしそうなら気が幾分楽になる。
だってその約束を、ぼくが破ってしまったから。
いつもみんなに言えないことがあると、いつもふたりで顔を寄せ合って、『ないしょばなし』をしていた。その瞬間の、ふたりだけの時間が楽しかった。
『あのね、きいてくれる?ないしょばなし』
『くふっ、ぼくたちだけの、ないしょだよ』
悪戯っぽく笑う自分たちの顔は、いつだって鏡のようだった。
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