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ずれるふたり・歩
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駆は黙って、時折頷きながら最後まで聞いていた。
『こんな夢見るなんて……ぼく、変なのかな』
『疲れてるだけだよ…多分。父さん、死んじゃったから…みんなそうだと思う』
そう言いながら、駆はつらそうな顔をしてた。
駆の言う通り、お父さんの死んだショックで、疲れて変な夢を見たのかもしれない。そもそも夢なんだから、何が起きても不思議じゃないし。
『本当に夢だったのかな…』
『え?』
『あっ、なんでもないよ』
だって、夢の中で抱かれた手の大きさも、触れた唇の感触も、舌の熱さも覚えてる。
やっぱりなんか変かもしれない。
その日以来、なんだか兄ちゃんと話すのが気恥ずかしかった。
それに、まどろんでいるとあの夢を思い出すようになった。
『どうしよう、やっぱり病気なのかな…』
不安でたまらなくて、いつも駆にすがるように打ち明けていた。
そのうち駆もぼくの夢のことで不安がるようになって、これ以上心配させたくないと思って、ぼくは思い切って二葉兄ちゃんに夢の話をした。
きっと、そこからふたりの『ずっといっしょ』が揺らぎ始めたんだと思う。
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