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心配
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二葉兄ちゃんの話を楽しそうに聞いていたお母さんが、何かを思い出したようにぼくの方を見た。
「歩、学校は楽しい?駆ったらいつもそのこと心配してるのよ」
「え?」
「ばっ……言うなっつったろ!」
お母さんの言葉にきょとんとする。
駆が…ぼくのことを?
本当に?という顔で駆の方を見る。駆はすぐそっぽを向いたけど、耳が赤くなってた。……本当に心配してたんだ…。
「あら、ごめんね駆…口が滑っちゃって」
お母さんが少し慌てる。ぼくは頭の中で「心配」のひとことを反芻する。
進学先が別になって以降、向こうから連絡してくることもなかったし、こうやって会っても憎まれ口を叩いたりと生意気な態度をとるだけで、あの『約束』を破ったことを怒っているのかと、内心ずっと気になっていた。
でも、駆もずっとぼくのことを気にしていた。
そう思ったら、すごく嬉しくなって、ついにやにやして駆に言い返す。
「……駆」
「んだよ」
「ぼくは学校、楽しいよ。駆こそどうなの?」
「っ……へっ、お前みたいななよなよしてんのと違って、俺は勉強も運動も部活も全部エンジョイしてんだよ~だ!」
「この~~ああ言えばこう言う~!」
舌を出して馬鹿にしてくる駆と取っ組み合いになる。
本気の喧嘩でもなくて、こんなふうにじゃれ合うような接し方したの、随分久しぶりかも。
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