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ふたりの部屋
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返事がなかったから、入るよ?と言ってドアを開けたら、駆は勉強机の上で突っ伏していた。近寄って見てみたけど、居眠りをしていたみたいで、ちっとも起きる気配はない。
「なんか、広いなぁ」
昔はふたりで共有していたその部屋は、ぼくが二葉兄ちゃんと一緒に住むようになってから荷物を大分移転したおかげで、前よりこざっぱりしていた。机の上の教科書やペンはぐちゃぐちゃだけど、部屋全体はそれなりに片付いている。
ぼくも駆も掃除は好きな方だから、きっと今でもちゃんと整頓してあるんだ。
引っ越す前はぼくの勉強机が置いてあった部屋の反対側には、まだ新品同様のベッドが置かれている。そっと腰かけると、ふんわりとしたマットの感触が気持ちよかった。
ふたりで使っていた頃は、隣り合わせに布団を敷いて、隣でひそひそ話しながら眠りに就いていた。
もう寝た?起きてるよ、なんて言いつつ、いつも寝てしまうタイミングも一緒。
「…いいなぁ、駆」
こんな高そうなベッド買ってもらっちゃって。
眠っている駆のそばに近寄って顔を覗き込んだ。…よだれ出てる。
「机汚れちゃうよ……あ」
駆の口元を拭こうとして、右手の下に何かが挟まっているのに気付いた。
起こさないようにゆっくりと右手をずらして、手の下のものを手に取る。
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