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午睡
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薄いその紙のようなものは、ぼくと駆が中学の卒業式の時に撮った写真だった。
「なつかし…」
懐かしいといっても2年以内に撮った写真だからそんなに昔じゃないけど、やっぱりすごく懐かしく見える。
まぶしげに目を細めて写真に写る自分の顔は、なんとなく寂しそうで、駆の顔も、なんだかそんな風に見えた。
「また通いたいなぁ…中学校」
今の環境に不満が特にあるわけじゃない。
でも、もしできるなら、ふたりで通学路を、昔みたいに語らいながらまた歩きたいと思った。
「今は、難しいかぁ…」
嘆息して、写真をそっと手の下に戻す。
「……駆」
「…ん……ゅ…む」
「!」
駆の口から声が漏れて、ビクッとしてつい後ずさる。でも駆が起きてくる気配はやっぱりない。微かに身じろぎして口をむにゃむにゃと動かしているのを見る限り、どうも寝言だったみたい。
「びっくりさせないでよ…」
「…ゅむ……ゃ…いで…」
「…?」
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