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瞬き
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「やだ……ゆ…む…」
これ、やっぱりぼくのこと呼んでるんだよね。
口元から耳を離して、苦しげな寝顔を見つめる。
「駆…?」
「あゅ…む…行か……ぃで…」
駆から一度離れようとして、その右手がぼくの袖を捕まえているのに気が付いた。一瞬たじろいだけど、駆はやっぱり眠っている。無意識にこうなったらしい。
顔を近づけると、長い睫毛の端にわずかに涙が見えた。
うなされてるのかな。起こしてあげたいけど、怒られそうだし…。
「苦しいの?」
返事はないけど、眠りながら眉根を寄せる駆の表情を見てると、ぎゅうっと胸が締め付けられるような思いがする。
なんでここまで、駆のことでぼくが心配してるんだろう。
でも、なんだか放っておけなかった。
「駆、」
「ぃや……だ…っま…待って!」
ばち、と互いの睫毛がぶつかる音が聞こえた気がした。
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