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寒い部屋
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「好きになんのに明確な理由がいるって、俺は思わねぇけど…そんなに不満?」
「だって……なんか、それじゃ本当に好きなのか疑わしくない?」
二葉兄ちゃんなら、ぼくのどんなところが好きで、どういうところが可愛いとか、いつだって優しく教えてくれる。
できたら『可愛い』じゃなくて、本当は『かっこいい』って言われたいけど…。『いくつになっても俺は歩のことは可愛いと思うけど、歩が18歳になったら、考えてあげるよ』って、誤魔化される。
「…じゃあ、好きだってことは信じてくれなくていーよ。そのかわり、傍にいたいと思ってるってことだけは、信じてほしい」
「ん……」
駆が真っ直ぐにぼくを見てくるのがつらくて、俯く。
月明かりが逆光になって、駆の表情が陰になることで、余計に悲しげな雰囲気が加味されてるのがなんだか嫌で、電気を付けたいと思った。
さっき窓を閉めたばかりだから、部屋の中は冷気に満ちていて、思わず身震いする。
「…ぃ……」
「え?」
「この部屋…寒い」
それを聞いた駆が立ちあがって、思わず身構える。
駆は真っ直ぐに歩み寄ってきて、ベッドの脇にあった毛布をぼくに被せて、ぼくを抱きしめてきた。
「……離してよ」
「…やだ」
「弟のくせに、ちっとも言うこと聞かないよね」
「歩のこと兄って思った事ないし。双子に兄も弟もねーだろ」
駆の顔が、ほんの少しいつものふざけた表情に戻った。
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