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冷たい風
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◇ ◆ ◇
『ごめんね、先生…』
「いいよ、病気で心細いんだから仕方ないだろ」
風が容赦なく体を冷やす。
夜中に伊織から電話がかかってきたので、こっそり起き出して玄関先で電話することにした。
部屋を出る際、歩の布団が空だったのが気になったが、上にある駆の部屋から微かに物音がするので多分ふたりで部屋にいるんだろう。
『もうすぐ学校再開するのに…いつまで会えないんだろ』
「具合が悪かったのは何日か前だから、学校に行けないのはせいぜい2日くらいだろ」
『えぇ……2日も?…そんなのやだ』
なんでこんな会話なのかというと、伊織が今日、風邪薬をもらいに行った病院でインフルエンザにかかっているのを告げられたからだ。
休みの間の風邪にくわえて、外出先でもらってきたらしい。
鼻声で寂しそうにつぶやく伊織に、ちょっとでも不安が薄らぐように声をかける。
「今はゆっくり寝て、ちゃんと元気になるのが最優先。そしたらまた可愛がってやるから」
『…先生の変態』
「ばかとは言われ慣れてるが…変態はひどいな」
『だって……生物室にいる時の先生…やらしいもん』
生物室。このことを口にする時、大抵伊織は拗ねてるか恥ずかしがっている。
まぁ、正直『実験』中の自分が変態じみてることは否定しないが…普段伊織にそっぽ向かれ続けた反動でもある。
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