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けんか
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他愛ない会話をして気を取り直す。
「それで、医者はなんて?」
『風邪の間にまとめてかかったから、ちょっと長引くかもだって…でも、休み明けてすぐよくなるって言われた』
「そうか」
少し安心する。俺だって伊織と長いこと会えないでお預けを食らうのはごめんだ。
伊織が休むであろう日数を予想して、その間にどんな宿題を出そうか考えながら話していると、上の階から声が聞こえた。
「…さい!…の弱み………で無…りさせたのはどっちだよ!」
歩の声だ。かなり怒ってるみたいだが。
続いてガタガタと物音がして、少し静かになった。一人で怒鳴って暴れることはまずないだろうから、恐らく駆と何か揉めている。
『先生…?』
「悪い、ちょっと切るぞ。すぐかけ直すから」
『え?』
伊織の返事を待たずに通話を切る。
兄弟喧嘩くらい放っておけばいいのに、なぜか止めにいかなきゃいけないような気がした。
ゆっくり階段を上がる。お世辞にも新しくはない家だから、ギシリと木材のきしむ音がする。それでも2人は気づいていないようだ。
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