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漏れ聞こえる
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階上に近づくごとに、ふたりの声がはっきりと聞こえ始める。
「……て、僕がまだ………ないって言っ…どうするのさ」
「……よ」
一体何の会話をしてるんだ?
取っ組み合いみたいなことにはなってなさそうだが、歩の口調が明らかに喧嘩腰なのを見たのは相当久しぶりかもしれない。
ぎし、ぎしと階段を上って行くごとに、謎の動悸が始まった。
「…ゃあ同意の上にしてやる。…したら…んだよ」
「ふざけ…同意がほしかったら、生まれ変わって二葉兄ちゃんになるくらいは…てくれなきゃ、無理だし」
二葉?なんで二葉の名前が出てくる?
駆が歩にちょっかいをかけて、歩がそれをはねつけているという構図に見えるが、話は一向に見えてこない。
廊下の端を摺り足で移動して、ドアのそばに立つ。
聞き耳を立てたいわけじゃない、だけど迂闊に部屋に入ることもできないから、暫く様子を見るのがここは得策のはずだ。
「………からさ…俺の……きになれないなら、いっその……嫌えよ」
急に駆の声が小さくなった。
全部聞き取れはしなかったけど、嫌えよ、という語末にとても切なさを感じる。
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