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「これから、精霊の森の調査に向かう。これまでの話を聞く限り、危険は少ないと考えられるだろう。だが、最後に調査に行ってから数年が経ってしまっている。状況が変わっていてもおかしくない。それぞれ、警戒を怠らないように」
「はっ!」
レオンは隊員たちを引き連れ、馬に乗って精霊の森に移動する。馬での滑走も大切な訓練の一環だ。レオンは先頭を切って走りながら、平坦で一番近道になるルートを外れ、あえて難しいルートを選んで進んでいく。後ろからついて走る隊員たちに、馬のコントロールを体で学ばせるためだ。
「はぁ…はぁ…」
「あ…脚が…」
昼休憩をはさんだとはいえ、午前のハードなトレーニングを全力でこなした後だ。精霊の森は警備署から馬で駆けて二十分ほどの道だが、難しいルートを通ってきたことで、その倍は時間がかかっている。
森に着いた隊員たちはすでにぐったりとしているが、レオンは一人澄ました顔で馬から降りる。
「それぞれ馬を木に繋げ。すぐに森に入るぞ」
「はい…」
「どんなに疲れていても、気は抜くな。警備をする上で、油断して判断が遅れることが一番の命取りになる」
「はいっ!」
レオンの厳しい眼差しに、ぐったりと姿勢を崩していた隊員たちも背筋を伸ばす。全員が馬を木に繋いだことを確認して、レオンは先の見えない精霊の森に足を踏み入れた。
入口からは一本道で、歩けど歩けど、一面緑の世界だった。木漏れ日がシャワーのように降り注いで美しく、風にそよぐ木々の音が耳に心地よい。
散歩コースにするにはぴったりといってもいいような森だが、いかんせん人の気配は全くなかった。
「…うわ、本当に木ばっかりだ…」
「そうだな…綺麗だけど、木が多すぎて見通しがよくない。何があるか全くわからないな…」
隊員たちは左右を注意深く見ながらレオンの後をついていく。そのまま道なりに十分ほど歩いた頃だろうか。
「…なるほどな」
「…レオンギルド団長?」
「どうかしましたか?」
先頭を歩いていたレオンが、ふと立ち止まった。隊員たちは何かに納得したようなレオンを不思議そうに見つめて声をかける。
「気付かないか?ここは、先ほども通った道だ」
「えっ!?だって、ずっと一本道で…」
「真っすぐにしか、進んでませんよね…?」
引きつった顔で戸惑う隊員たちに、レオンは一つ頷く。
「いくつか木の特徴を記憶していたんだが…、ここはおそらく、入口付近で通った道と全く同じだ」
「じゃあ、私たちって今、迷わされてるってことですか…?」
「わからない。俺の気のせいということもある。とりあえず先に進もう」
レオンはそう言って再び歩き出す。レオンの視界に見えるぼんやりとした精霊の光は、森の外と比べてかなり多い。森に入った時から、無数に見えるその光は、レオン達の後をついてくるように浮遊していた。まるで監視されているかのようだ。
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