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「…あの人、また来てる」
ティトルは、水鏡に映る男…一か月ほど前から、毎日森に通い続けているために、見慣れてきてしまったその姿を見つめて、ぽつりと呟く。
精霊たちは毎日飽きもせず、嬉しそうに男を迷わせている。一体、何が目的で一か月も森に通い続けているのか。
森に来ている様子を見る限り、パートナーがいるわけでもなさそうだった。つまり、同性間で子供を授かるために、精霊樹に祈りを捧げに来た、というわけではないだろう。植物や動物に危害を加える様子も見られない。ただ森の中を注意深く歩き続け、入口に戻された時には満足したかのように帰っていく。その繰り返しだった。
前に何かのイベントで見たことがある、騎士団の人間が着ていた制服と同じものを身に着けていることから、男は騎士団に所属する人間だということがわかった。
初日には、普段物資のやりとりをしている警備隊の人間と複数人で来ていたが、その翌日からは制服の違う、騎士団の男一人だけで森に来ている。しかし、騎士団の人間がなぜここへ通い続けるのか。ティトルには検討もつかなかった。
「…まあ、別にいいか。ぼくには関係ない」
少しの間不思議そうに水鏡を見つめていたティトルだったが、すぐに視線を手元に戻し、最近執筆しはじめた小説の続きを書き始めたのだった。
しかし、一か月ほど続いていた「森をさまよう騎士」と「それをただ見ている精霊守」という不思議な関係は、唐突に変化を迎えることになる。
それは、気まぐれな精霊たちの「いたずら」がきっかけだった。
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