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「そうか…答えてくれてありがとう。精霊守は、皆ずっとここで暮らしているのか?」
「…僕は、僕の前の精霊守しか知らない。けど…僕もその人も、基本的にはここで生活してた」
「そうなのか…今は、君一人で?」
「……、そんなことより、どうやってここに来たの。入口まで案内させるから…早く帰って」
ティトルのこと、精霊守のことを知ろうとするレオンを、ティトルは警戒していた。レオンがまとっている雰囲気や話す声から、今のところ敵意は感じられない。しかし、そんなものはいくらでも取り繕えると思っていた。
どうして自分のことを知りたがるのか、関わろうとするのか。ティトルには理解できなかったのだ。興味本位なのか、それとも精霊の力が目的なのか。レオンのことを疑うことしかできなかった。
「どうやって、か…俺にもわからない。君が呼んだというわけではないんだな」
「僕が…?ありえない」
うっすらと嫌そうな表情をするティトルに、レオンは思わず微苦笑する。ティトルがレオンから視線をそらし、周りを飛び交う精霊たちの様子を見ると、なんだか楽しそうにこちらを伺っている姿が見えた。
ティトルはその瞬間、この不思議な出会いがなぜ起こったのかを理解し、小さくため息を吐く。
「…精霊たちが連れてきたみたい。どうしてかは僕にもわからないけど」
「そうなのか?…俺があまりにも毎日来るから、迷惑して呼び出されたのかと思っていたが」
「…迷惑って思うほど、興味がないから」
手元に抱えていた本に視線を落としながら、ティトルはそう呟いてレオンを拒絶した。レオンは心を開く様子のないティトルを静かに見つめていたが、ふとティトルの視線の先にある本を見て、思わず声をかける。
「…その本、作品名を聞いてもいいか?」
レオンの問いかけにぴくりと肩を揺らしたティトルは、ゆっくりと顔を上げてレオンを見る。その顔には表情らしきものは浮かんでいないように見えたが、どことなく不安そうな雰囲気を漂わせているのが、離れているレオンにも感じ取れた。
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