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瓢箪から駒②
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俺と先輩との出会いは、蒼ちゃんが高校に入学した最初の試験期間だった。
蒼ちゃんは高校に入学して間もなく、生徒会のお手伝いで帰りが遅くなる事が増えてしまった。
その為、俺は学校がある日は蒼ちゃんと会えなくなってしまい、蒼ちゃんが大好きだった俺は凄く寂しかったんだよね。
そんな不満な気持ちを抱えていると、蒼ちゃんの弟で、俺のもう1人の幼馴染みである章三から、試験前の一週間は部活や生徒会活動がお休みだと聞いて、その日は蒼ちゃんの帰りを今か今かと待っていた。
俺は赤地家のリビングで章三と2人、テレビを見ながら蒼ちゃんの帰りを待っていた。
時刻は16時。
ドアが開く音がして
「ただいま」
の蒼ちゃんの声にリビングを飛び出した。
「蒼ちゃん、おかえりなさい!」
玄関に居るであろう、大好きな蒼ちゃんに抱き付いた……筈が、抱き付いた感触が華奢な蒼ちゃんの身体とは全く違う、鍛え上げられた逞しい身体。
「?」
抱き付いたまま固まっていると、抱き付いた人物の背後から
「翔、傘は外の傘立てに入れといたから」
と話す蒼ちゃんの声がした。
驚いて顔を上げたその瞬間、俺の唇に柔らかい感触が触れる。
そう…俺を見下ろした相手の唇と、俺の唇が触れてしまったのだ。
驚いて目を見開くと、やっぱり驚いた顔をした漆黒の切れ長の目と目が合う。
吸い込まれそうな漆黒の瞳に思わず見惚れてしまう。…が、のんびりしている場合では無い。
「ぎ…ぎゃ~~~!」
俺は悲鳴と同時にその人物から飛び退いた。
離れて見たその人物は、純和風な顔立ちの爽やかなイケメンだった。
スラリとした身長に小さな卵型の輪郭。
筆で描いたような凛々しい眉に、切れ長で奥二重の目。スーっと通った鼻筋に、薄く引き締められた唇。…唇。俺が唇を見て、思い出して真っ赤になっていると
「葵!どうした!」
慌てた章三が駆け寄って来た。
手の甲で唇を隠してパクパクと口を動かしていると、蒼ちゃんが
「章三。悪いけど今日、僕の友達が泊まるから、来客用の布団を出してくれる?」
そう言って、章三を玄関からリビングへと押し出した。俺と章三は、蒼ちゃんの言葉にあまりにも驚いてしまい
「ええ!」
と叫んでしまった。
あれは蒼ちゃんが中学3年の夏。
凄く暑い日だったのを覚えてる。
その日は、当時蒼ちゃんの親友だった奴の家に受験勉強をしに行っていて、帰りが遅くなったらしくそいつの家に泊まる事になったらしい。
この日、赤地家のご両親はおばさんの実家に夫婦で帰省していて、俺は赤地家に泊まっていた。
俺と章三は遅くまでゲームで遊んだ後、そろそろ寝ようかと章三の部屋に布団を運んで寝る準備をしていたその時、玄関から物凄い物音が聞こえて、俺と章三は泥棒かと警戒しながら玄関へと向かって行った。
すると、そこには絶望に瞳を曇らせた蒼ちゃんが立っていた。
深夜、恐らくそいつに襲われかけたのだろう…。
裸足に着の身着のままの姿で帰宅して来たのだ。
蒼ちゃんのパジャマはボタンが引きちぎられ、そこから見える素肌に付けられた跡に、何があったのかは一目瞭然だった。
章三は慌てて自分の上着を脱いで蒼ちゃんに被せ
「葵、悪いけど先に部屋に行ってて」
とだけ言い残し、蒼ちゃんを浴室へと連れて行った。
蒼ちゃんは綺麗が故に、心無い人に性の対象として襲われそうになる経験も多数している。
子供の頃、俺と蒼ちゃんは変質者の類に追い掛けられてばかり居たんだ。
章三はそんな俺達を護る為に、喧嘩が強くなって行った。
俺と章三は同じ年齢だから章三に助けてもらってたけど、2つ年上の蒼ちゃんは1人になる事が多かった。
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