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瓢箪から駒③
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蒼ちゃんは見た目が綺麗な事から、小学校低学年の頃に酷い虐めを受けていたらしい。
学校ではいつも1人で本を読んで過ごしていたと、後から俺達は聞かされた。
そんな蒼ちゃんが4年生に上がった時、結城大輔という、学年のリーダー的な奴と仲良くなる。
そいつと仲良くなってからは、蒼ちゃんは結城に守られる形で平穏な生活を送っていた。
ただ、俺と章三は結城が大嫌いだったんだ。
結城は蒼ちゃんを独占したがり、俺達にさえも嫌がらせをしてきた。
蒼ちゃんの前で見せる顔と、俺達だけの時に見せる顔が違い過ぎて、俺と章三は心配していたんだよね…。でも、蒼ちゃんに何を言っても
「心配し過ぎだよ」
って笑って流されてしまい、俺達は黙って見守る事しか出来なかった。
そしてその結果、夏休みの受験勉強会で蒼ちゃんは危ない目に遭ってしまったのだ。
信頼していた親友の裏切り行為に、蒼ちゃんは心を閉ざしてしまい、結城と一緒に受験する筈だった公立高校を止めて、地元の中学からは誰も受験しない桐楠大附を受験して特待生として入学した。中学卒業するまで、蒼ちゃんは誰とも親しくせずに1人で過ごす程に、俺達以外の人間を拒絶するようになってた。
桐楠大附に入学しても「友達は作らない」と言っていたので、俺と章三は正直驚いた。
確かに、入学早々に友達が出来たとは聞いていたし、その人が痴漢や変質者の類に狙われやすい蒼ちゃんを、自分の送迎の車で一緒に学校へ送迎してくれているのも聞いていた。
でも、まさかあの事件から半年で友達を自宅に連れて来るなんて思わなかった。
しかも、自分の部屋に泊めるだなんて…。
俺と章三が戸惑っているのをよそに、蒼ちゃんは携帯を取り出して電話を始めた。
「あ、母さん?ごめんね、仕事中に。今日、友達が泊まりに来たんだけど…。うん、そうそう。」
蒼ちゃんは話ながら、章三を連れてリビングへと行ってしまう。
そして玄関に取り残されたのは…、俺と蒼ちゃんの友達と二人。
気まずい空気が流れている。
その沈黙を破ったのは、蒼ちゃんの友達だった。
「あの…ごめんね。大丈夫?」
ハンカチを差し出されて聞かれ、俺は綺麗にアイロン掛けされたハンカチを奪い取る。
ギっとそいつを睨むと
「でも、君が抱き付いて来たのが原因だから…お互い様という事で…」
と、困った顔で呟かれた。
「確かに…」
一瞬納得しかけて、ハッと我に返る。
「確かに抱き付いたのは悪かったけど…、ファーストキスだったんだからな!」
叫んだ俺に、そいつはびっくりした顔で俺を見てから、少し悩んだ顔をして
「分かった。じゃあ、責任を取るよ」
と、真剣な顔で言って来た。
「責任?どうやって?」
疑いの眼差しを向ける俺に
「きみさえ良ければ、お付き合しても良い」
と、真顔で言われる。
「お付き合い?お付き合いって、何処に付き合わせるつもりなんだよ!」
怒った顔で返した俺に、そいつはポカンっとした顔をした後
「あ…いや、そうじゃなくて…。恋人になるって言ってるんだけど…」
と、困ったような顔で呟いた。
(恋人?)
俺はそいつの真意が理解出来ず、一瞬ポカンっとして相手の顔を見てしまった。
が、困ったような戸惑うような顔で俺を見つめるそいつの言葉の意味を、時間差で理解し
「はぁ?何で俺があんたと付き合わなくちゃいけないんだよ!大体、男同士でどうやって付き合うんだよ!」
と、思わず叫んでいた。
するとそいつは目を見開いて
「え!君、男の子なの?」
って、心底驚いた顔で叫んだ。
(確かに顔はお袋似で、良く女の子に間違えられるけど…)
そいつの言葉にワナワナと震える俺を、そいつは頭の先からつま先までジッと俺を見つめては「?」という顔をしていやがる。
「俺の何処をどう見たら、女の子だって言うんだよ!」
地団駄踏んで叫ぶ俺に、「あ!」という顔をしたかと思えば
「え?じゃあ、変声期前?小学生だったの?」
と、真顔で言いやがった。
余りにも失礼な発言の連続に、俺の堪忍袋の緒がぶちっと音を立てて切れた!
「ふざけんな!俺はれっきとした中学二年の男だよ!」
そいつの手を取って、俺は自分の股間にそいつの手を当てた。
俺の行動にびっくりしたらしく、そいつは触らされた手と俺の顔を交互に見ている。
「どうだ!わかったか!」
ふんぞり返った俺に、そいつは突然吹き出すと大笑いし出した。
「な!なんだよ」
驚く俺に
「嫌…、男を証明させるのに、まさか握らせるとは思わなくて…」
と言いながら、思い出して再び笑い出す。
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