アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
悟れない悟
-
休みあけの今日、俺は教室で頭を抱えていた。
「みてみて、これみやこちゃんにもらったんだ!」
「みやこちゃんってあれだろ?加賀美の親戚の女の子。」
「いつももらってんだろ?なあ、加賀美?」
「あ、ああ・・・。」
いつもつるんでいる友人に聞かれ俺は他に答えようもなく頷いた。
「それとは違うんだって!」
「違うってなにが?」
「だから・・・。」
慌てて余計なことを言いかけた悟の口を無理やりふさぐ。
もごもごとしているけど、こうしなければ今までのことがバレるから暴れるその耳もとで耳打ちする。
「ここでそれ言ったらいままでのもバレるだろ。」
「いつものみやこちゃんと違うのか?」
「あー、ああ。いつもは俺経由だったんだけど今回は手渡しされたんだよな!?」
もう大丈夫だろうと口から手を離せば、悟は俺の言い訳に頷いた。
「そうそう、わざわざ俺の家まで来てくれて手渡ししてくれたんだ!可愛かった~!」
そこから怒涛のように始まったのは悟によるみやこちゃんの説明と言う名の羞恥プレイだった。
浮かれすぎている性かかなり大げさにどれだけ可愛かったか熱弁しているけど、俺は確か最後地声で話していたし走って帰る姿は女の子らしくなかったと思うぞ!?
「へぇ、そんな可愛いのか。なぁ写真とかねぇの?」
「加賀美ならもってるんじゃねぇの?」
「帝都持ってるのか?」
(いやだから、あれは俺の女装姿であって写真なんか持ってるわけ・・・。)
別人だとわかっているはずの悟までもそう聞いてくるのが理由はわからないけど、はっきりとないと答えようとしたその時、不意にスマホが振動した。
姉ちゃんからのLINEだったからちょっと開けてみるとそこにはあの日の俺の写真があった。
「あー、みやこちゃんだ!」
「なんだ写真あるじゃん!」
(なんで、このタイミングで・・・。姉ちゃん狙ってんのか!?)
狙いすましたようなタイミングで送られてきたその写真に三人の目が釘付けになった。
戸惑っているうちにさっとスマホが手から抜かれた。
「へぇ、結構可愛いじゃん。」
「だろだろ?」
「確か同じ歳だっけ?」
「帝都そうなの?」
「そ・・・そうだよ!悟、前に話しただろ!?」
盛り上がっているこの状況で本当のことを明かしたら一生ネタにされるから、押し切るしかない。
「丁度遊びに来てたとか?」
「そうそう、丁度遊びに来ててさ・・・。ちょっと悟の家に行ってくるって・・・。」
笑って話を合わせているけど、もうギリギリだ。
意味のわかってなさそうな悟が口を滑らせそうで怖い。
その後は強引に話を切り替えようとする俺と詳しく知りたい三人との攻防戦だった。
その日の帰り道、味方になるはずの悟が全然役に立たなくて大変だったから一言文句をいってやろうと俺は口を開いた。
「お前さ、ああいうこと言うなら先に言えよ。」
「・・・帝都だって言ってくれなかったじゃないか!」
いつになく無口だったと思ったらいきなりキレられた。
「いや、だってさすがに気づくかなって・・・。」
ちょっとしたいたずらのつもりでだますつもりはなかったし、メイク落とした後母さんに誘われて外食にいっちゃったんだから・・・。
「言ってくれなきゃ気づくわけないじゃん!みやこちゃんが本当にいたなんて!」
(えー!?おま、まだ勘違いしてるの!?)
いくらなんでもあの会話で気づかないはずはないだろうと思ってたのに、予想外の反応に思わず返す言葉を見失った。
「みやこちゃんが本当にいるって知ってたらちゃんとホワイデーのお返し用意したのに!」
確かに、建前上のものだったからホワイトデーとか考えてなかった。
バレンタインより地味だし菓子のバラエティーも少ないし・・・。
「いや、気にしてないと思うけど・・・。」
「何言ってんだよ!ってかお前みやこちゃんがいたってことは俺が用意する必要なかったじゃねぇか!」
「いや、だから・・・あのチョコをみやこちゃんに送ってたんだよ。」
もうなんて返したらいいのか俺もテンパってたから適当に話を合わせておく。
「はぁ!?あの安物をか!?」
(いや、俺がみやこちゃんからだってあげてたのも安物だったじゃん!)
コンビニで買える三百円ぐらいのやつを送り合っていたんだから問題ないはずなのに、やたらキレられた。
「とにかく、今度日曜日にお返し買うから付き合えよ!」
「え?」
「俺、みやこちゃんの好きそうなもの知らないし・・・。」
(いや、お前知ってんだろ!もう十年も親友やってんだから!)
十年も親友やってるのにちょっと化粧しただけで気づかないとか、親友の自信がなくなってくるけどな。
結局強引に買い物の予定を決められ、なんだかんだで次の次の日曜日に買い物にいくことになった。
帰ったら姉ちゃんに電話して文句言ってやる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 5