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ダメダメなデート
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そして次の次の日曜日、何故か俺はまたしても女装させられた。
電話で文句言ったはずなのに、予定を聞いた姉ちゃんがまた帰ってきて強引にメイクされた。
金がかかるからって長い休みしか帰ってこなかったのになんでこういう時は反応いいんだよ。
嫌がる俺を無視してフルメイクして、チャイムと同時に押し出しやがった。
「え?みやこちゃん!?・・・帝都は?」
いきなりのことに動揺している悟を前に、姉ちゃんはにっこり笑いかけ俺は風邪を引いたから代わりに二人で行ってくるようにいいそのまま追い出した。
「いってらっしゃい!」
(おい!?)
「いこうか、みやこちゃん・・・。」
悟からしたら初めてあった女の子と二人きりってかなり気まずいはずなのに、俺・・・みやこを気遣ってか平気そうな顔をしている。
意外と男らしいとこもあるじゃんと思ったら、右足と右手が一緒にでている。
(行進してるんじゃねぇんだから!)
普通に歩いているようにみせかけて、縁石に躓いたり、電信柱にぶつかりそうになったりと目も当てられないグダグダっぷりだったから俺は覚悟を決めた。
買い物の間は頑張ってリードしてやろう。
ギャルゲーで学んだテクニックを見せてやる!
どこに行ったらいいのかと困っている悟に雑貨屋をリクエストして、家からほど近い駅前の雑貨屋に入る。
駅前の雑貨屋を選んだのは品数の多さと店内の広さだ。
そりゃ知り合いにあう可能性もあるけど、そういう時は逃げればいい。
この雑貨屋棚多いから隠れられるし、広いから他の階にいけばなんとかなるだろ。
「ど、どこみたい?」
「じゃあ面白雑貨とかあるとこがいいな。」
面白雑貨コーナーならさすがの悟も会話に困らないだろう。
いや、今後がないから困ってくれてもかまわないんだけど見ていて気の毒になるのはちょっとな。
「色々あるね。」
なるだけ高い声を意識しつつ、色が変わる人形とか癒し要因のクラゲもどき、最近どんどん増えているミニチュア玩具の食玩をみていく。
ホワイトデーのお返し探しにきたんだからねだるのに適当な物を探す。
欲しいのは紙で作れる模型とかだけど、値段高いし女の子らしくない。
(となるとやっぱ人形か?キーホルダーサイズのぬいぐるみなら妥当かな・・・。)
「なんだこれおもしれー!」
考え込んでいたせいですっかり忘れていた悟の声に、そっちを向くとなんかすごいリアルな虫がフンをだすおもちゃを触りまくっていた。
(よりにもよってそれか!)
「ほらこれ!」
間違いなく女子にウケないだろうフォルムのおもちゃをすごく楽しそうにしつつ、普段の俺に対するように顔の目の前に持ってきた。
(どうする俺!?)
いつかできる彼女のための予行練習だと思っているのに、こんなのことをやったら一発で嫌われてしまうかもしれない。
女性に耐性のある俺としてはここで教えておかないと、彼女はいないけど・・・。
「きゃ、きゃー・・・や、やめてよ。」
悲鳴をあげて注目を集めるのも嫌だったからとにかく、嫌そうに口を両手で隠し怯えたような演技をしてみた。
「あ・・・ご、ごめん!」
(よし、うまくいった。)
白々しい演技だったような気がするけど、そもそも俺の正体に気づかないぐらいの鈍感バカだから大丈夫だろう。
「そんなことよりも、なにか買ってくれるんでしょ?」
「う、うん。いままで安いチョコばっかりでごめんね!なんでも買うよ!」
落ち込んでいる悟の気持ちを切り替えるように、本来の目的を持ち出してみれば簡単に立ち直った。
(ほんと名前に似合わずちょろいな。)
悟って名前のくせに全然悟ることもできずに鈍いし、バカなのはいつものことだ。
姉ちゃんが言っていたように顔はいいんだけど、彼女がいないのはこのせいだろうな。
「じゃあね、これ。」
「これか・・・。かわいいね・・・え・・・。」
姉ちゃんの部屋でみたことのあるキャラクターのぬいぐるみがあったから、手のひらサイズのそれをとって見せれば悟が固まった。
(どうしたんだ?)
何をみて固まっているのかとのぞき込んだ俺の目に入ったのは、千円を超えた値段だった。
(しまった!高すぎた!)
小さいから安いだろうと思っていたのに、キャラクターものだったからなのか千五百円ぐらいした。
五百円ぐらいのにしようと思っていたのに、予算オーバーだ。
「あ、ごめん。他のにしようか・・・。」
咄嗟に他のを見てみるけど、予想が外れたせいでどれが安いのかもわからない。
「だ、大丈夫だよ!全然問題ないから!」
(嘘つけ、お前こずかい5千円でいつももらってすぐ使うくせに。)
毎度月の終わりには買い食いもできないって騒いでいるのを知っているから、なるべく安いのにしようと思ったのに戸惑っている間に悟はレジに向かってしまった。
(あー、あと数日どうすんだろ。)
お返し買うつもりだったから少しは持ってきているんだろうけど、計画性がないことを知っているから心配になる。
「おまたせ!」
「あ、ありがとう。」
(ごめん!姉ちゃんにあげるのに丁度よさそうだと思っただけなんだ!)
もらっても部屋に下手に置いておくと見つかるかもしれないから、姉ちゃんにあげれば大丈夫だと思っていただけに心苦しい。
「喜んでもらえてよかった!」
(う、ごめん!)
だましている気持ちが強くなってきたから、もう帰ろうと切り出せば悟はどこかがっかりしたような表情を浮かべた。
「え、もう?」
(しまった。これじゃ欲しい物だけもらったらさっさと帰る女みたいじゃないか?)
もう少しなにかをした方がいいんだけど、適度に時間をつぶす方法が思いつかない。
いつもなら、この雑貨屋を全部見て回って二人で色々言い合うんだけど、それもなんか違うと思う。
ゲーセンにしてもカラオケにしても多分お金が足りない悟の・・・。
そもそもカラオケはごまかせる気がしないから却下だけどな。
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