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プロローグ
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爽やかな風が吹き付ける5月。雨が降る日も増え、初夏が訪れようとしている。普通の学校なら昼間は長袖じゃ授業できないくらい暑くなってきた頃だろう。まあ、普通の学校なら、なんだが__________……
ここ、勅使河原(てしがわら)学園は全国でも五本の指に入る超名門高校。名だたる御曹司やらがごまんと通っている、いわゆる金持ちが集まる学校だ。しかも超がつく。
校舎もバカでかくて、最初来た時は空いた口が塞がらなかった。こんな規模いるか?
なのに校舎内は廊下も例外なく空調設備バッチリで、今日もしとしととした雨だが上からスーツを羽織ってても快適である。
そんな日に俺は普段は立ち寄らない部屋に招かれている。
「祐くん、久しぶり」
上質そうな社長椅子のような椅子に掛け、にこやかな笑顔でこちらに手を振っている人物_______
勅使河原 聖(てしがわら ひじり)。現・勅使河原学園の理事長であり、俺の……親族だったりする。
まあ兄の嫁のお兄さんだから詳しく言うと遠い親戚にはなるんだが……
38歳にしてこの学園を立ち上げ、他にもいくつか会社を持っているそうだ。あまり仕事の話をする人でもないから詳しくは知らないが、すごい権力者なのは俺でもわかる。
手入れされている黒髪は後ろでひとつにまとめられ、目元は少しタレ目がちで甘めの顔をしている。
顔はどちらかと言うと綺麗系なのだが、年齢や経験値からくるものなのか余裕のある仕草で落ち着きがある雰囲気だ。
「……ご無沙汰してます、なんのご要件ですか、理事長」
さっきも言ったように、知り合いではあるが普段はこんなとこには来ない。
一介の教職員が理事長室に直にお呼ばれなんて、普通ない。本当は呼ばれてもできれば来たくないんだ俺だって
「すごい他人行儀だね。なんかちょっと寂しいな〜いつも通り聖さんって呼んでいいんだよ」
ここには誰もいないしね、と付け加える。
「……一応勤務中なんで」
「意外と真面目だよね……あ、もしかして直接理事長室に呼び出したの気にしてる?」
頬杖をついてこちらをにやにやと見ている。
にやにやすんな!やっぱ嫌がらせかよ!!
しかもなんだ意外と、って!?
俺が騒がれるの嫌いなのわかってて呼び出したな……
いつも要件は電話なのに放送で呼び出したもんだから職員室ではすごい騒がれたんだぞ……
「……………………………聖さん要件は」
睨みつけても効果ないのは知ってるが、腹立つので睨む。
「ごめんごめん、相変わらず注目されるの嫌いなんだね。そんな見た目なのに。」
いつも一言余計なんだよ。おちょくってんのかこの人は
「今日は急遽頼みたいことがあって呼んだんだ。内容的に電話より来てもらった方が手っ取り早かったからね」
やっと本題だ。仕事してる時はしっかりしてるんだけど。
聖さんは引き出しからA4ほどの茶封筒を取り出し、中を見るように促された。
「明日編入生が入ってくるから案内して欲しいんだ。」
「明日……?急だな、しかもこんな中途半端な時期に……
…………!!」
俺は取り出した封筒の中身を見てギョッとした。これは……
「そう、ちょっと先月まで海外にいたから微妙な時期になっちゃってね、まああの子のことだからすぐ馴染むと思うんだけど」
「なるほど……」
帰国子女か、しかもこの容姿は……
「仲良くしてあげてね。クラスは君のクラスにしといたから♥」
にっこりと、そこらへんの女なら腰砕けになりそうな笑顔で聖さんは俺に地獄のようなことを告げた。
自分の顔がいいのわかってやってるよな、これ
……………………勘弁してくれ…………今から頭が痛い
「あ、それと」
聖さんに手首を掴まれ引き寄せられる。咄嗟のことに反応が追いつかない。
「シャツ開きすぎだよ、祐介」
耳元で囁かれ、胸元に聖の左手が触れると
親指が擽るように鎖骨をなぞる。
「……ァ…!」
ひく、と祐介の首筋が震えた。
「弱点そんなにさらしてていいの?」
聖さんはすぐに離れて、さっきみたいににやにやしている。
なんでちょっとやらしい雰囲気にした
「ッッ……!そういうファッションなんだよ」
というか触ってくるやつなんて滅多にいねえよ!あんたくらいだ!
「鎖骨弱いのも変わってないね、まあ食べられないように気をつけて」
俺が入ってきた時のようなにこやかな笑顔で見送られ、俺は理事長室を出た。
やっぱりおちょくられてるな、くそ……なんだ食べられないようにって……俺を食うような悪食がそういるかっつーの
気恥しさに頬を少し染め、職員室に向かうべく歩き始めたのだった。
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