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転入生
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土日明けの月曜日の朝。現在俺は職員室だ。
俺の憂鬱な気分とは裏腹に、外は5月でも珍しいであろう爽やかな晴天である。
うわー…今日洗濯物干したら秒で乾きそうだな
「おい加瀬澤なにしている、教室に向かう時間だろう」
俺が窓際でボーっとしていると、後ろから声をかけられる。
この人は蓮見 圭一郎(はすみ けいいちろう) 。担当は数学で生徒指導を受け持ってる。
黒髪を真ん中分けにして、シルバーフレームの眼鏡、グレーの細身のスーツをスマートに着こなしている。
「……んー」
「今日は転入生が入る日だろう。担任のお前がボーッとするな。だから生徒に舐められるんだ。そのチャラチャラした格好もやめろと言っているだろう。学校の風紀が」
「あーはいはい。わかってますよ」
この人苦手なんだよな、いつもつっかかってくるし。生徒指導としては俺の格好やらが気に入らないんだろうが
水無瀬と同様もとが美形だから不機嫌になるとなお迫力がある。
つかまったらめんどくせえ。さっさと行くか
転入生はどっかで会うだろ。
「すみません、1-Sの担任の先生はどなたですか」
職員室のドアに向かおうとしたところ、俺が開けるよりも先にドアが開く。ナイスタイミング!
「お、きたきた。じゃ、蓮見せんせ、失礼します」
「おい、まだ話はおわってないぞ。加瀬澤」
逃げるが勝ちってな〜なんかすごい呼んでるけど無視だ無視
あの人の説教きいてたらいつまでたってもおわらん
さて、
「……ん?おまえが編入生か?」
「……はい」
聖さんに貰った資料の中には顔写真ももちろん入っていた、んだが…………
俺の目の前にいるのは今回編入生してきた天乃 柊真(あまの とうま)。
身長は俺より少し小さいくらいで、黒髪のショートカット。前髪が長く、目を覆うくらいの長さでさらにシルバーフレームの大きい丸メガネをしている。
まったく顔が見えないというわけではないが、近い距離で見ないとわからない。
なんつーか……やぼったい?もさい?根暗そうな印象を受ける
「…………聖さんは何考えてんだ」
「はい?」
「……いや、なんでもない。っと、時間やべえな、移動しながら話すからついてこい」
聖さんが何考えてんのかはさっぱりだが、隠したいんだろうな、黙っといた方が懸命か?
ちょっとゆっくりしすぎた。まあまあ距離あるから急がねえと。後ろをみると、天乃は黙って後ろをついてきていた。
「自己紹介まだだったな。俺は加瀬澤 祐介だ。お前のクラスの担任で古文もってる。一昨日水無瀬にあったろ?教室の場所は大丈夫そうか?」
「あーはい、なんとか。みなせ……副会長?ですか?」
「そうそう、あいつのことだから校舎案内してくれたんだろ?どうだった?」
天乃は考えるように少し黙ると
「……校舎が無駄にでかい」
……………………
「っははは!!考えてそれかよ!」
思わぬ返答に爆笑してしまった
帰国子女で転入生と多少身構えてたんだか、1言目それかよ!思ったより思考回路が庶民的だな!
「ッヒ〜〜〜〜はあ、はらいて〜〜さすが水無瀬だな、仕事しっかりしてらあ」
あいつに任せて正解だったな。仕事はしっかりする。
校舎案内までしてこの印象は可哀想だが
「まあ校舎は俺も最初思ったけどな。」
ぶっちゃけ今でも思ってるけど。
「……加瀬澤先生はあんまり先生っぽくないですね」
「なんだそれ、この格好か?」
ちなみに今日のコーデはブルーに黒のストライプの細身のスーツ、黒のシャツにお気に入りのシルバーネックレスだ。
「それもなんですけど……なんていうか、おおざっぱというか」
「お前結構いうな。まあよく言われるけど。お前らくらいの年齢のやつは先生に言われてはいそうですか、って言うこときくのか?」
俺は少し振り返って天乃を見る。
「まあ……聞くのは一部でしょうね」
「そういうこった。1人くらいテキトーな先生がいた方がバランス取れんだよ」
そんな世間話をしている間に1-Sの教室の前についた。
教室の中はざわざわと話し声が聞こえる。おぼっちゃまが多いっつっても高校生だからな。
「じゃあ呼んだら入ってこい。そんとき自己紹介しろよ。」
「わかりました」
思ってたよりちゃんとしてるな。予備知識の情報が酷かっただけに。ちゃんと敬語も使えるし下手に正義感がある訳でも無さそうだ。
さあ、鬼が出るか蛇が出るか。何も無ければいいんだがな。
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