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そう思っていたのに――――
豹牙に抱かれると満たされる。
キスもセックスも、髪の撫で方までも好み。
「司。昨夜から何も食べてないだろ。少しは食え」
無理矢理、口にカツ丼を押し込まれる。
朝から重すぎ。でも、手作り。俺の好きな薄味。
「……お前が寝かしてくれないから眠い」
「よく言うよ。『もっと』って強請ったのは、お前だろ?」
そう言って豹牙が笑う。
一緒にいる時間を心地良いと感じるのは、情なのだろうか。
「頬に付いてるぞ。子どもか」
豹牙が目を細めて、俺の頬を拭った。
いつも俺様のあいつが笑ったりすると、そわそわしたりして。
それなのに……
ある日突然、豹牙は呼び出しに応じなくなった。
仕方なく奴のマンションに出向く。
インターホンを鳴らすと『帰れ。しばらく来るな』とはっきり言われてしまった。
なんで……
数日、悶々と過ごした。
『今夜、うちに来いよ』
久し振りに豹牙から連絡が来た。
財布だけ持って、急いで家を飛び出す。
濃密なセックスにうっとりしつつ、イかされすぎて脱力していたら「じゃあ、帰ってくれ」と言われた。
俺達はセフレ。お互い、都合の良い関係……だけど、酷くないか?
また会えない日が続き、会ってもヤッたら即追い出される。
これはアウトだろ。
秋人の時と同じ。他に相手がいるんだ。俺の体に飽きた……?
意を決して男なら誰でも嫌いじゃないという裸エプロンに挑戦した。
もう少し俺の事を見て欲しい。
前みたいに一晩中、抱かれたりしたい。
ドキドキしながら奴の前に立つ。
「ふ……なんだ。その格好。あ、ハハッ!」
大爆笑された。
予測していなかった訳じゃない。
所詮、色気のない奴が何を頑張ったって色気はゼロのまま。
――――無意味だった。
そりゃ笑うよ。男が裸エプロンなんかしたって、ただのギャグだ。
「は、はは……ウケるだろ?」
目頭が熱くなる。
「……司?」
「俺、ちょっとコンビニ行ってくる」
涙を堪えきれずマンションを飛び出した。
恥ずかしい。俺、馬鹿みたいだ。
その日は真っ直ぐ家に帰った。
電話が鳴ったけど、取らなかった。
どうすればいいんだ。
優しくない男。恋愛を馬鹿にしていて、絶対に恋にならない相手。
あいつみたいな奴だけは駄目なのに。
――――豹牙が好きだ。
数日、連絡を無視していたら、電話が鳴らなくなった。
仕事を終え自宅に戻ると、誰かが玄関前に座っている。ギョッとして見ると、男は顔を上げた。
「豹牙……!」
座っていたのは豹牙だった。
「何、無視してんだよ」
ゆっくり立ち上がり、俺と向き合う。
「別に……」
「………もしかして元彼とヨリ戻したのか」
思わずドキッとする。
「ち……違うけど」
俺、お前との関係をやめようと思って……
『好き』だから、セフレはきつい。
なんて言ったらいいか、分からず黙っていたら、カバンから鍵を取られる。
勝手に開けて、部屋に入られた。
「司……」
名前を呼ばれるだけで、込み上げてくる。
見つめられたら胸が高鳴り、指先が触れただけで心臓が止まりそうだった。
重なった唇に心が震える。
玄関で押し倒されて、抵抗一つできなかった。
――――こんな事されたら、期待するんだけど。
遊び人のくせに丁寧な愛撫。甘い抱擁、優しいキス。
もう駄目。限界……
俺もお前に会いたかったんだ……
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