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出発
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「ロイ…本当に大丈夫なのか…?」
「平気です、お父様。」
玄関先で情けなく眉を下げて両肩に手を置く父に、やんわりと首を振って笑いかける。
「ロイズ…」
父の後ろには、そっくりの顔をした綺麗な姉が3人。揃いも揃って今にも泣きそうな顔をしている。
「お姉様方もご心配なさらず。」
せっかくの美しいお顔が台無しだと、姉たちにも笑いかけてみるが1番上の姉はとうとう泣き出してしまった。それにつられるようにして、2番目、3番目の姉も不安そうに視線を揺らす。
ロイズは1歩進んで長姉の手を取り、指先に口付けた。
「僕なんかが陛下のお目に止まる筈はありませんし、1週間後には無事に帰っていますよ。」
実際ロイズはこれからの旅路に一抹の不安も感じてなどいない。
「それでは、行って参ります。向こうに着いたら手紙を書きますね。」
屋敷に残る4人にひらりと手を振って、ロイズは迎えの馬車に乗り込んだ。
王都までの所要時間は約半日。
慣れないドレスの裾を踏まないように脚を閉じて座り、まだ門の前で見送ってくれる家族にもう一度手を振る。
「行ってきます!」
またあんなに心配そうな顔をして。僕だってもう立派な大人なんだから、これくらいの旅どうってことないのに。
いつまでも過保護な家族に内心苦笑しながら、ロイズは初めて赴く王都へと思いを馳せた。
一体どんなところなんだろう。
お父様たちには申し訳ないけれど、僕は領地から出たことがないから旅行みたいでちょっと楽しみ。
まあ、女性のふりをしなくちゃいけないのは少し面倒だけれどきっとなんとかなるよね。
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