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第3章
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「…魔王様」
淫魔達が出ていき、暫くすると、静かにアレクシスが声を掛けて来た。
「あぁ、分かっている」
先程から国境付近で人間の足音が耳障りに響いているのを感じていた。数は…ざっと50名程、ちょっとした小隊程度の規模だ。まぁ、国境付近まで進行出来ると言うだけで精鋭部隊だということが伺える。
「ヘレニウス公爵を向かわせろ…俺も見物しに行く」
どうせ城に篭っていても暇なので俺もあわよくば新しい玩具が手に入れば、と見物しに行くことにした。アレクシスは「承知致しました」と言うと優雅に踵を返し、公爵を呼びに向かった。
俺はゆったりとしたリラックス用の服装を機能性を重視した動きやすい服装に変え、足音を感じる方へと向かった。
ーーー
上空から人間共を伺う。奴らは俺の存在に気付いていないようだ。己の周りのみを警戒しながら森の中を進んでいた。
「魔王陛下、ご機嫌麗しゅうございます。」
丁寧な挨拶と共にヘレニウス公爵がアレクシスと共に俺の傍に控えた。
「あぁ。」
軽く首肯し応えた。
「陛下、今回のあれらはどうやら勇者が直々に率いているようですよ。…前方の数名、あれらは他の人間らとは少し違う力を感じますね。」
ヘレニウス公爵がそう評価した人間達を注視してみる。…あぁ、確かに少し違う…俺達魔族が闇だとするなら、奴らは光に祝福されているような力を感じる。大方、天使共が俺達を討伐するために人間に祝福を贈ったのだろう。哀れな人間め、天使共の駒にされて思い通りに踊ってやがる。
ーと、ある1人の人物から目が離せなくなった。
「…気を付けろ、ここは既に敵地だ。」
深紅の鮮やかな髪に、程よく日焼けした小麦色の肌。少し高めの透き通った声。幼さの残る綺麗な顔に髪と同じ深紅の双眸。…あれは…
「ヘレニウス公爵、あれは…」
気付いたときには、ヘレニウス公爵に「あれは誰だ」と聞いていた。公爵は少し驚いた表情をしたものの直ぐに応えた。
「…あぁ、あれですね。あれは勇者ですね。勇者アーサー=レイウィン」
「アーサー…レイウィン…」
噛み締めるように、刻み付けるように呟き、反芻する。
よし、決めた。アレがいい。アレを俺の嫁にし、跡継ぎを産ませることにしよう。天使共の祝福を一身に浴びた者が魔王の子を孕み、産み落とすとは…実に皮肉がきいている。
「ヘレニウス公爵、勇者とその一行は生け捕りにせよ。ただし、勇者は俺が直々に捕らえる。その他の人間は好きにしろ。アレクシス、行くぞ。」
公爵とアレクシスはそれぞれ「承知致しました。」と言っては行動を開始する。
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