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第6章
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side アーサー
「…気を付けろ、ここは既に敵地だ。」
魔王国の国境に差し掛かっている森の奥深くを進軍する軍の皆に注意を促しながら、ゆっくりと歩を進めていく。
「アーサー、霧が濃くなっている。」
近くに居る魔道士のパトリックが俺に注意を促す、「あぁ分かっている。」と俺は応えながらパトリックから離れないように注意しながら進む。パトリックは少し長めの新緑の髪を1つに纏め、同じく新緑のローブを身に纏っている。
パトリックと俺は幼馴染で、一緒に宮廷で魔王討伐軍の戦力として育てられた。そのため周りにいるのは大人ばかりで、同い年のパトリックとは直ぐに打ち解けた。大人になるにつれ、次第にパトリックのことを"友人として"ではなく"恋人として"好きになっていった。そして、どちらからともなく想いを告げ、付き合うようになった。まだ、軽いキスくらいしか出来ていないが、これからゆっくり歩めばいいかと思っている。
「…あれ?」
と、そんな事を考えていれば、いつしか軍の皆の足音は聞こえなくなり、傍に居たはずのパトリックさえも見当たらなくなっていた。
「…誰だっ!」
背後に気配を感じ、剣を構えながら振り向く。
「あ、あぁこんにちは、俺、道に迷ってしまっていて」
そこに居たのは、深い黒の髪と双眸を持った人物だった。敵意や魔力は感じられない。ごくごく一般の人間だと感じた。
「迷ったって…ここは魔王の国だぞ、早くここから離れた方がいい。……くそっ、他の皆は何処なんだ。何故はぐれてしまった…」
何故こんなところに一般人が?と不審に思いながらも、勇者として保護する責任があるだろうと彼に近付く。ーーと、
『…夜風に吹かれ、木々の子守唄を聞き、夢に溺れて眠れ』
俺の意識はそこで途切れた。
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