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〜空夜side〜
5月4日
いろいろあったが、クラスの団結力は高まる方向に向かい、昴流のクラス内立ち位置も特に変わらず、京と亜美香も仲が悪くなることも無く、なんだかんだ日常に戻った。
そんな中迎えたゴールデンウィーク。
吹奏楽部が休みの日が1日だけあり、ちょうどその日は昴流と京は練習場所の都合で休み、兼は自主練習の日になっていたため、その前日の今日からお泊まり会をすることになった。
1番早く部活が終わったのは兼だったようで、近くのファストフード店で待っているとLINEが入っていた。
空夜は今から行くと連絡をして、部活仲間に声をかけてから足早に学校を出た。
「かしけん、お待たせ!」
「おっ、くうちゃんお疲れっ!きのちゃんときりちゃん、まだかかりそうな感じかな?」
「うーん、どうだろ……メッセに既読はついてないけど。」
そう言ってスマホを開くと昴流からメッセージが入っていた。
すばる『まだかかりそう。霧谷は俺が連れてくから、2人で先帰ってて。俺ら練習場所同じだから』
「おっ、きのちゃんたち同じ場所でやってたんだ!」
「今日はアリーナだったみたいだね。じゃあ、先行ってようか。」
「おっけぃ!」
ファストフード店を出て、駅に向かって歩く。
空夜の家は、学校からだと兼や京の家のちょうど中間あたりの駅が最寄りになる。
定期圏内であるため2人にとっても負担は少ない。
十数分電車に揺られ、最寄り駅に着いてから少し歩くと家が見えてきた。
「あ、なんか買ってからの方がよかった?」
「ううん、お母さんが色々買っといてくれてるから大丈夫。」
「え?!いいの?俺たちお金払うよ!」
「いいのいいの。お母さんそういうの楽しみにしてるからさ。」
「えぇ……!俺なんかお土産持ってくればよかった!次来ることあったら絶対持ってくるね!!」
「そんな気使わなくていいのに。でもありがと。」
家の鍵を開けて、兼にどうぞと促す。
「お邪魔します!」
「お母さーん!ただいま!」
リビングに向かって声をかけ、靴を脱いでいると母、恋が玄関にやってきた。
「おかえり。いらっしゃい、兼くん。」
「本日はお世話になります!」
ガバ!と頭を下げた兼に恋はくすくす笑った。
「ふふ、何もないけど、楽しんでね。昴流くんと京くんはどうしたの?」
「後から来るって。昴流が連れてきてくれるらしいから、先に帰ってきた。」
「そっかそっか。おやつ食べる?部活のあとでお腹すいたでしょ。」
「軽く食べよっかな。かしけんも食べるでしょ?」
「えっ、うん!ご馳走になりますっ!!」
「ふふ、手洗っておいで。」
兼がいちいち丁寧に頭を下げるので、恋はそれをニコニコしながら見ていて楽しそうだ。
「くうちゃんのお母さん、めっちゃ美人だしめっちゃ優しくない?!」
「そう?怒ると怖いんだよ。」
「そうなの?!すんげぇ優しいよ?」
「お父さんがたまに怒らせるんだよ。」
「赤津琉が?」
「ふふ、そう。お父さん、俳優のときはかっこいいかもしれないけど、家だとただのポンコツなおじさんだからね。」
「そうなの?!えぇ、意外!お家でもさわやかダンディな人なのかと思ってた!」
「そんなことないよ。」
恋に甘えて、呆れられ怒られ、けれど仲が良くて。
まあ、そんな両親が空夜は好きなのだけれど。
「俺の父ちゃんも、母ちゃんによくお小言言われるんだぜ。靴下裏返しのままにしないで!とか、寝るならグラス片付けな!とか。」
「あー、そういうことはあんまり言われないかも?」
「まあうちの父ちゃんは普段はめちゃめちゃだらしないからな……母ちゃんになんで好きになったのか聞いちゃったくらいだよ。うちの母ちゃんは女なんだけどな、女性に優しくて寄り添おうとしてくれるところが好きなんだって言ってた。」
「へぇー!仲良いんだね。」
「まあ、仲はいいな!怒られると父ちゃんシュンとしてすぐにやるんだ。そんで謝るんだぜ。シュンとするならやんなきゃいいのになぁ?」
兼の両親の話を聞きながら、荷物を1度空夜の部屋に置き、リビングに行く。
テーブルにチョコレートケーキと紅茶が用意してあった。
「兼くんは紅茶飲める?」
「はい!!俺なんでも平気です!」
「それならよかった。ちょうど美味しい紅茶があったから、それいれてみたんだ。空夜、これ昴流くん達のぶんもあるから。お母さんちょっと買い物行ってくるけど、もし2人がきたら出してあげてね。ナッツ類は入ってないケーキだからね。」
「うん、ありがとう。」
「瑠梨が寝ちゃってるから、起きたら少し面倒見ててあげて。」
「わかった。行ってらっしゃい。」
「買い忘れだけだから、すぐ戻るね。」
恋が家から出ていき、兼と2人で他愛ない話をしながらケーキを食べる。
そのケーキが無くなる頃、2階から瑠梨が降りてきた。
「まぁまは……?」
「買い忘れちゃったものを買いに行ったから、空兄ちゃんと少し待ってよう。」
「うん……くうにいちゃんの、おともだちぃ?」
まだ眠そうな目を擦りながら、瑠梨が兼の方を見てそう聞く。
「そうだよ、はじめましてるりちゃん。俺、兼っていうんだ。」
「けん、くん?」
「そう!よろしくな!」
「うん、よろしくねぇ。」
「可愛いなぁー、俺も妹いるんだけど、もう中学生だから、さすがにある程度距離置かれててさ、寂しいんだ。」
「ははっ、そうなんだ。瑠梨、兼お兄ちゃんと遊んでもらう?」
「うん!」
「おっ、いいぜー、何して遊ぶ?」
兼は慣れた様子で瑠梨の相手をしてくれて、恋が帰ってきてからも瑠梨の遊びに付き合ってくれた。
恋が帰ってきて少しすると昴流たちもやってきて、全員が揃った。
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