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~宏樹side~
女子達と合流し、無事羽田に時間までに戻り、緋村から連絡事項を受けて解散した。
途中までは皆と同じ電車だったが、ある駅で俊哉と宏樹だけ反対方向の電車になり他の皆と別れる。
電車の中は座れる程度の混み具合で、二人で並んで座ると、ほぼ同時にため息をついた。
「なんなんだよ……朝から可愛すぎて反則じゃね……」
「それな……もぉー……でも京が鈍感で助かったかも。」
「まじ?俺は鈍感すぎてどうしようかと思った……」
俊哉は少し前に、空夜のことが好きだと宏樹に告白してきた。
いつ好きになったのかと聞けば、昴流を殴ったとき、確信したという。
元々空夜の顔が俊哉のドンピシャ好みだったらしく、それに加えて合唱コンの指揮者としての統率力、昴流を殴って止める勇気と強さが決め手だったようだ。
「あ、そうだ、宏樹ごめん。」
「なに急に?!」
「いや……」
成り行きで宏樹が京に片思い中なことを空夜に言ってしまったらしく、加えて、4人で遊ぶ方向にもっていってしまったようだ。
「あー、なんだ、そういうことか。それなら俺も2人のこと利用しちゃったからいいよ。」
「どういうこと?」
「京をデートに誘ったんだけど、いきなり2人って俺にとってハードル高くてさ……」
「なるほど、じゃあ都合よかったな。」
「うん。4人で出かけるってことにしてくれてよかったよ。」
「こっちも辻褄あってよかった。あとは俺と宏樹で話してから決めるって言ったから、空夜には俺が伝えるわ。」
「俺もとしとはこっちで話すって言ってある。京にとしがくーちゃんのこと好きで、くーちゃんに言わないで協力してほしいって言った。」
「おー、それが一番よさそう。」
「じゃああとはいつ行くかだね。」
「そうだな。」
正直4人とはいえデートにこぎつけただけでも劇的な進歩である。
京と1日遊べるというだけで嬉しい。
「ただ申し訳ないんだが、まだあまり話せていないから、いきなり遊ぶっていうのは不審に思われたのと、予定合わないんじゃって言われて、とりあえず食事とかからっていったんだよな。」
「そっか!!まあそれはそれで……実際俺たちサッカー部で忙しいし、くーちゃんも京も部活忙しいもんな。」
「うん。だからとりあえず合唱コン落ち着いたらみんなで夕飯行かね?」
「そうだね。」
放課後にご飯を食べに行くというのも立派なデートに入るだろう。
学生の特権ともいえる制服デートもできる。
宏樹的には京とLINEでやり取りできるのも嬉しいことの1つである。
「でもよかったな。お互い誘えて。」
「うん。」
今回、遠足でお互いの想い人が同じ班になったときは顔を見合わせてしまった。
まさかここまでいい班になるとは思わなかったのだ。
それと同時にいい機会だとお互いに考えた。
この機会に距離をつめ、仲良くなれたらいい。もしできたらプライベートの約束も取り付けられれば万々歳。そんな気持ちで今日を迎えた。
いろいろトラブルもあったし気も使ったが、それより京と近づけた気がしたし、電車の中であんなに接近できたのも嬉しい。
変態的かもしれないが、片思い中というのはそんなものだ。
「くーちゃんが鈍感なのはちょっと意外だったけどなあ。」
「そうか?」
「うん。結構しっかりものだし、みんなの空気も読めるし。周りのことよく見てるなって思ってたから。」
「んー、あれは自分に向けられた感情に疎いタイプの鈍感じゃね。」
「あー……京と同じタイプかあ。」
「京もそうなんだ。」
「そー。人が苦しんでるとか悩んでるとかには敏感なんだけどな。」
「自分に興味ないんかな。」
「そうなのかな……?自分に向けられるとは思ってないのかも?」
「あー……空夜は、告白されてから意識するとは言ってた。」
「なるほど。じゃあとしも告白するの?」
「いや。いきなり告白してくるやつには引いたって言ってたから、もっと仲良くなってから。」
「あ、そうなんだ。」
しかしそれもそうか、と思う。
空夜は芸能人の息子だし、急に関係を迫られたら警戒するだろう。
そもそも急に告白されたら誠意がないようにも思えてしまう。
何回か出かけて、仲良くなったあとで告白するのがいいのは明白だった。
「まあ、焦らず行くわ。」
「そうだね。俺も片思いには慣れてるし。」
「まあなんかあったら言えよ。俺も相談すると思うし。」
「うんありがとう。」
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