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〜空夜side〜
「ただいまー。」
合唱コン前日、喉を休めるために今日の放課後練習は禁止で、通常通り始まった部活は17時半には終了し、空夜は陸玖より早く帰宅した。
「おかえり。」
リビングから恋がひょっこり顔を出す。
「今日の夕飯、空夜の好きなお刺身にしたから、早くお風呂入っておいで。」
「え!ほんと?鯛ある?!」
「あるある。奮発しちゃったよー。でもお魚屋さんがおまけしてくれてさ。鯛めしも作れた。」
「え!やったー!!」
「ふふ、ほら、今ちょうどお風呂あいたから、行っておいで。」
「うん!」
刺身が大好きな空夜だが、その中でも真鯛が1番好きで、けれど鯛はさすがに高いのでなかなか食卓には上がらない。
特別な時か、外食の時くらいしか食べられないものだ。
食の好みは陸玖とほとんど同じだから、きっと陸玖も喜ぶだろう。
「ふんふん、ふふんふん……」
ルンルン気分で部屋に上がり、タオルや着替えを持って浴室に向かう。
「お、空夜おかえり。なんか機嫌いいな。」
「お兄、ただいまー。今日の夕飯知ってる?ふふん、鯛だって!」
「ははっ、なるほどな。よかったな。」
わしゃわしゃと頭を撫でられて髪がボサボサになる。
「もー、なにすんの。」
「可愛いなぁと思って。食べ物でそんなにニコニコしちゃって。」
「えー?お兄だって好物出てきたらニマニマしてるくせに。」
「うるさいわい。早く風呂入っといで。」
「ふふ、はーい。」
若干照れて、話を切りあげた春陽と入れ違いに風呂に入る。
今日は琉も早く帰ると言っていたし、7時には皆でご飯が食べられるだろう。
空夜が風呂から上がり、リビングに行くと琉と陸玖が帰宅していた。
「あ、2人ともおかえり。」
「ただいま!」
「ただいま。陸玖先に風呂入ってこい。」
「わかった!」
陸玖が先に浴室に向かい、琉は瑠梨と遊んでいる。
「昂は上?」
「うん、宿題多かったんだって。ご飯前に終わらせるって、お風呂入ってからやってる。」
「まあ、俺が風呂からあがる頃には終わってるだろ。」
恋は瑠梨と先に入ったようだし、琉が最後だ。
陸玖はそんなに長風呂するタイプではないので、もうすぐにご飯になってしまいそうだが、昂は間に合うだろうか。
(まあ、終わらなさそうだったら声掛けに行こうかな。)
そんなことを思いつつ、麦茶を一杯飲んでから恋の隣に行く。
「なにか手伝うことある?」
「んー、食器類用意してもらえる?」
「うん、わかった。」
テーブルを拭いて、お箸や取り皿、小皿などを出す。
調味料なども用意してから恋のところに戻った。
「ありがとう。」
「あとはいいの?」
「そうだね。お父さん今お風呂行ったでしょ?」
「うん、さっき。」
「お父さん出てから、お刺身と味噌汁出すから、その時手伝ってくれる?」
「うん。」
「鯛めしはあとは蒸らせばいいから、運んじゃおうか。」
土鍋に入っているらしい鯛めしをテーブルの真ん中に置いて、恋もやることが終わったようだ。
「瑠梨、こっちおいで。」
「はぁい!まぁまおわった?」
「うん、終わったよ。」
「じゃあこれみて!」
琉と一緒にやっていたおりがみを恋に見せてニコニコ笑う瑠梨はとても可愛らしい。
「これはちょうちょで、これはおはななの!」
「すごい、上手だね。綺麗な色だし、瑠梨はおりがみも上手いね。」
「えへへ。これはね、ねこさんだよぉ。」
恋に褒められてさらに他のものも出してきて、空夜にも見せてくれる。
「上手。ねこさん可愛いね。」
「でしょぉ?」
空夜も褒めると、瑠梨はますます可愛らしく微笑んだ。
シャワーが止まった音がしたので、空夜は一度2階に上がって、昂の部屋にノックして入った。
「あ、空夜兄さん!」
「そろそろご飯だけど、勉強終わりそう?」
「うん!今ちょうど終わったとこ!」
「そっか、よかった。じゃあ下行こうか。」
「うん!」
昂と一緒に下に降りると、琉が戻ってきていて、恋が味噌汁を温めている。
冷蔵庫に入っているという刺身を出し、瑠梨の分だけ先に取り分けた。
「あ、空夜、瑠梨の分の刺身持ってきてくれる?」
「もう少し小さくする?」
「うん。」
瑠梨の分は鯛と平目だけ。まだ刺身は白身魚だけ、それも少量しか食べさせないと恋が言っていた。
鯛めしはしっかり火が通っているのでそちらをメインにすれば、瑠梨は十分満足するだろう。
兄や両親たちと同じものを食べたがるが、お刺身に関しては元々白身魚が多いこともあり、瑠梨は今のところ白身魚以外にはあまり興味を示していない。
食卓の準備が整い、皆で揃っていただきますの挨拶をする。
明日の合唱コンには恋と瑠梨、昂もくるようで、楽しみにしている、と特に空夜は言われた。
琉は残念ながら仕事のようだが、恋が様子を録画するつもりのようで、夜それを見るのを楽しみにしているらしかった。
(今日は好きなものにしてもらったし、頑張らないとな。)
クラスのためにも、見に来てくれる恋にいいところを見せるためにも頑張りたいと空夜は思った。
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