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〜新side〜
(うわー、まじか。)
幼馴染を巡る三角関係を聞かされた新は、反応に困って無表情になった。
まさか航が空夜を好きだったとは思わなかったし、俊哉が恋していたなんてことも知らなかった。
「えー、でもキスまでしてんならそっちに脈アリってことだろ?望み薄くない?」
巽がそう言うと俊哉はあからさまにシュンとした。
(つーかこいつら、俺が空夜と幼馴染ってこと忘れてんのか?)
「しかも航は吹奏楽部で、赤津くんとの付き合いも俊哉より長いわけでしょ?」
事実とはいえ、追い打ちをかけるようにそう言う巽はなかなか手厳しい。
さらにシュンとしてしまった俊哉は、大型犬の耳と尻尾が垂れ下がっているような雰囲気だ。
「あと航の方がコミュ力高いよなぁ。」
「返す言葉もない……」
未だ反応できず、新は黙々と唐揚げを口に運ぶ。
「新はどう思う?」
急に振られて、飲み込もうとしていた唐揚げが気管に入るところだった。
なんとか飲み込み顔を上げる。
「どうって……」
「お前は幼馴染だろ?空夜についても詳しいだろ?」
「いや、えぇ……まぁ、お前よりは?」
「俺に可能性はあるか?」
(んなこと言われてもな……空夜から好きな人の話とか聞いたことねぇし……)
空夜は恋人こそいたものの、空夜が『好きだ』と言う人はいなかった。
男女を気にすることはないが、俊哉が好みのタイプなのか、航が好みのタイプなのかはわからない。
優しいところもあるから、告白されたらとりあえず付き合うということをすることもある。
「そもそも航と付き合ってんの?」
「そこまではわからない。」
「もし付き合ってんだったら、付き合ってる間は何言っても無駄だぜ。アイツ、付き合いはじめたら基本的に振られるまでは他のやつに告白されても断るから。」
「そうか……」
「空夜は、告白されたらとりあえず付き合ってみる、ってこともあるから、もし航が告白してんなら付き合ってる可能性の方が高いかもな。」
「そうか……」
(……なんか完全に追い打ちかけたな。)
「……まぁでも、空夜が航を好きかどうかはわかんねぇし、とりあえず仲良くなれば?付き合ってないなら俊哉にもチャンスはあるし。」
「……そうか……!」
パァ、と顔が明るくなる俊哉は、なんだか少し可愛い。
(空夜、こういうのに絆されそうだな。)
「もう少し頑張ってみる。」
「おー。」
「がんばー。」
(にしても、俊哉がどうなるかはさておき、空夜が航をどう思ってんのかは気になるな。)
俊哉の話を聞く限りでは、航に対して全く好意がない、ということはなさそうだ。
今までの恋人への接し方より愛がある。
双子や昴流は、どうしても親の影響を受けやすく、それ目当てで仲良くなろうとする人がいなくなることはない。
新も会社社長の御曹司ということで群がってくるやつらがいないわけではないが、新自身が会社を継ぐ気がないのですぐに離れていくから面倒にはならないことが多い。
幼馴染の彼らには幸せになって欲しいと思うし、親たちを見ていると自分もこんな風に愛し合える人を見つけたいと思う。
昴流はさておき、陸玖と空夜に関しては恋のぽわぽわしたところが入っているせいか、若干不安がある。
そのうちの一人の空夜の恋愛事情ともなれば、新もその詳細は確かめておきたいところだった。
*
〜空夜side〜
「お疲れ様でした。」
「「お疲れ様でした!」」
部活が終わり、荷物をまとめているとスマホがブブッ、と震える。
LINEの差出人は新で、部活終わったら話さないかというような内容だった。
(珍しいな。)
今終わったことと、校門で待ち合わせようということを送って、荷物を持つ。
「くーちゃんまた明日ー!」
「うん、また明日。」
光樹に挨拶を返し、他の部員にも手を振って音楽室を出る。
「くーちゃん!今日早いね。」
後ろから声をかけられて振り返ると航がいた。
「あ、うん。なんか新が話したいことあるみたいで。」
「新が?」
「そう。珍しいんだよね。あんまりそういうことないから。」
「じゃあなにか相談ごととか?でも新って割と自分で解決するよなぁ。」
「うーん、そうだよね。」
新と航は2年連続同じクラスなのもあって仲がいい。
「昨日お泊まりしたから、その時のことかもしれないし……まあ緊急って感じではなさそうだったから、すっごく大事な話ってわけではないと思うんだよね。」
「そっかぁ。てか昨日お泊まりしてたの?それなら無理してLINE返さなくてよかったのに。」
「大丈夫だよ。お泊まりって言っても、うちの隣の昴流の家でみんなで集まってただけだし。」
「くーちゃんたち本当に仲良いよね。」
「あはは、家族みんな仲良いからね。同い年だとやっぱ仲良くなるよね。」
「楽しそうでいいなぁ。」
靴を履き替えて校門に向かう。
グラウンドでは野球部が片付けをしていて、サッカー部の姿はもうない。
「あ、新いるね。」
「ほんとだ。早かったんだ。」
航に言われて校門を見ると、新と宏樹、俊哉の姿が見えた。
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