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※作者には社交ダンスの知識がそこまでありません。雰囲気で読んでください。
〜空夜side〜
6月26日
「あ、くうちゃんきたー!」
兼がブンブンと手を振っていて、空夜は少し早足で兼と昴流のところに向かった。
「ごめんね待たせちゃって。」
「気にしないで!」
「かしけんと飯食ってたから。」
「あ、そうだったんだ。」
今日は京が出場する社交ダンスの大会の日だ。
あとから宏樹と俊哉も合流することになっている。
「きりちゃんのダンス楽しみ!」
「社交ダンスだからな、パートナーがいると思うんだけど。」
「確か京くんは同性のパートナーだったよね。」
社交ダンスといえばまだまだ男女のイメージが強いが、同性のパートナーの出場も増えているという。
「そうなんだ!相手誰なんだ?」
「えっと、確か……」
「小野智陽(おのともはる)。風紀委員長だよ。」
昴流がそう言いながら、今大会参加者のパンフレットを見せてくれた。
「そうそう、光樹と元同じクラスの子だよね。風紀で一緒だったからよかったって言ってたよ。」
「その子、学校の中でもイケメン中のイケメン、長身で優しくて王子様みたいって言われてないか?」
兼の言う通り、智陽は優しくて笑顔はさわやかで、顔も整っており、すらっとした体躯に甘いボイス。
男女問わず人気があり、学年のモテる人といえば、という感じがする。
その一方で顔は整っており、身長もあってスケートをする姿は美しい、けれど素っ気なくてクールな昴流も人気があるのだが。
「うちの学年でいったらその子かきのちゃんがモテてるイメージあるぜ。」
「俺もそうだな。」
「はぁ?まあ俺はいいとして、こいつはモテてんな。生徒会室で風紀と話し合いしてると野次馬がすげぇ。」
(それは昴流の野次馬もいるよ……)
そう思ったが言うと昴流が気にしそうなのでやめておく。
そういうところにいる人は大体『木之本』という立場にも興味があるのだから。
「きりちゃんもすーってしてるけど、この小野?って人の方が背高いよな。ダンスしたらめちゃくちゃかっこよさそうだぜ!」
「確かに、京と智陽は映えるな。」
呼び名からして、昴流は智陽とも仲がいいらしい。
(そりゃそうか。生徒会と風紀委員って何かと関わること多いしな。)
他の委員会とももちろん連携するが、生徒会、風紀、級長は特に関わりが深い。
「ま、とりあえず中入って座ろうぜ。」
「そうだな!」
3人で会場に入って、少し前の方に座る。
しばらく雑談していたが空気が変わって本番になる。
「これは予選だったよな?」
「そう。この大会は、予選で半分、準決で残り3組まで減らされる。」
「なるほど……!」
昴流が兼に説明をし終えたところで、選手たちが入ってきた。
「きりちゃんどこだ……?」
「あ、あれじゃない?」
指さした先、いつもと違って前髪を上げて少し流し、キリッとした顔立ちの京がいる。
隣に立つ智陽はとても高校生とは思えない色香をまとっている。
音楽がかかり、ダンスが始まる。
(うわぁ……綺麗……)
他のペアももちろんすごいのだが、京たちが纏うオーラが一気に変わった。
まるで恋人のようだと、空夜は思った。
女性に負けないしなやかさと、愛らしさ、可憐さがありながら、どこか色気も感じられ、ピュアな恋人に見えたと思えば、次の瞬間にはまるで情事の後のような妖艶さをまとったカップル。
曲が変わると彼らの表情も変わり、時には切なく、時には情熱的に見えた。
予選が終了し、審査の時間になる。
「きりちゃん、すごかった……!!」
目をキラキラさせた兼が昴流と空夜を交互に見ながら、興奮した様子でそう言った。
「あれはすげぇ。表情での表現力がハンパないし、手足の先まで使って、全身で表そうとしてるのがわかる。ダンス詳しくなくても表現力がすげぇのはわかる。」
「昴流のフィギアって、力強さと繊細さがあるイメージだけど、同じ人がやってる、ってわかるんだよね。でもなんか、人が変わったみたいな……うまく言えないけど……!」
「なんとなくわかる。」
「うんうん、伝わる!」
3人とも興奮してしまって、すごい、すごいと同じことを繰り返す。
審査タイムが終了して準決勝に出る組が発表されたとき、1位には見事に京たちのペアの名前があった。
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