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〜悠平side〜
「タイムお願いします。」
「タイム!」
審判に声をかけ、陸玖がオロオロしているマウンドに向かう。
「てめぇは何しとんじゃボケ!」
「わわっ、ごめ、ごめんっ、ごめんー!」
ゲシゲシと足をつつく。
「あんな腑抜けた球ばっか投げてなめてんのか?」
「なめてないです……」
「ブルペンでは良かったんだから、思い切り投げてこい。ストライク狙って甘く入るとか今のタイミングで1番良くねぇぞ。それならワイルドピッチするくらいの勢いで投げてこいや。次はとってやるから。」
「う、うん……」
「気持ち作ってけよ。」
「うん、そうだね。すぅ……はぁ……よしっ!!」
1度深呼吸すると、陸玖の顔つきが変わる。
やっと投球の気持ちになったらしい。
戻ってマスクを被る。
次は4番打者だ。先程までの流れから油断しているだろうが、もうあのようにはいかない。
サインを出し、陸玖が頷く。
ランナーは1塁。
「セカンド、ファースト、ゲッツー(*)あるぞ!」
ショートの3年生が声掛けをする。
守備は不安なところなどない。陸玖はどんと構えておけばいいのだ。
ボールが放たれ、ミットには収まらない。
「セカンド!」
見事セカンドゴロに打ち取り、取りたかったダブルプレー。
応援席が湧く。
「ナイピ(*)、ナイピー!」
「いいよー、陸玖力抜いてけー!」
先輩たちから声をかけられ、陸玖は頷く。
その後5番打者は難なく打ち取り、ライトフライ。
1回表の攻撃が終了した。
*
「礼!」
「「ありがとうございました!」」
試合終了後、電光掲示板に映された数字は
白 扇:2
茅野学園:4
(なんとか勝てたな。)
2回以降持ち直した陸玖のピッチングはかなりよく、ヒットで追加点を入れられたものの、その2点で抑えられた。
こちらの攻撃も前半は苦戦したが5回で2点入れると、7回にも追加点。見事勝利を収めた。
グランドから出たあと、反省のミーティングを行って学校に帰る。
それから道具を片付け、解散。
悠平も帰ろうかというところで、人気のない倉庫の方に引っ張られた。
「うぉ?!おいてめぇ、なにすんだ、危ねぇだろ。」
「ゆうくん……」
顔が紅潮して、まだ目がギラギラしている陸玖が、悠平を壁に押し付ける。
(こいつ、またか!)
2年生になって、陸玖がエースに選ばれた。
悠平もそれは嬉しかったし、自分も試合に出られることも嬉しかった。
陸玖も2人で組んで、先輩たちにも助けられながらだが、試合に勝つのは気持ちがよかった。
困ることといえば、陸玖のネガティブ思考、それからこれだ。
「ゆうくん、ゆうくん……」
試合後、気持ちが昂ったままのことがある。
それは悠平にもわかる。
しかし陸玖はその昂りがそのまま性的欲求に直結するらしく、モノをガチガチに硬くして悠平に抱きついてくる。
しばらく腰や尻に擦り付けていると満足するのか離れていくのだが、悠平はどうしていいかわからなかった。
(……つーか嫌じゃない自分が1番意味わからん。)
普通好きでもない人にそんなことをされれば気持ち悪いものだが、そういった感情を抱いたことは無い。
驚きこそしたが、気持ち悪いとは思わなかった。
(あぁぁぁぁ!意味わからん!!!)
「ゆうくん、こっち向いて。」
「あ?なんっ、ちょぅ、っん……!」
いつもなら勝手に抱きついてきて、首の匂いを嗅がれて、腰をヘコヘコさせると離れていくのだが、今日はキスをしてきた。
「ちょっ、りく、んっ、ぅ……」
(舌まで入れてきやがってこいつ!)
大体離れて少しすると冷静になって土下座してくるのだが、最中の陸玖は歯止めが効かない。
しかも馬鹿力がすごい。
舌を絡める濃厚なキスは、悠平には経験のないものだ。
しかも前を向いているせいで陸玖のモノがちょうど自分のモノに当たって擦れる。
(くそっ、こっちまで変な気に……)
どうしたものかと思っていると、陸玖の手が尻に伸びてきた。
その瞬間、悠平は思い切り陸玖を突き飛ばした。
「……へぁ?」
「てめぇ……ふざけるにも程があんだろ!!」
悠平はそう言うと陸玖を置いて帰り道を歩き始めた。
「なにいまのかお……かわいぃぃ……!」
真っ赤になった悠平を見て、冷静になった陸玖がそんなことを呟いたが、悠平には届かなかった。
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