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~空夜side~
9月18日
「今のところもう1回やろう!」
「空夜、ステップ力みすぎ、俊哉も肩に力入りすぎてる。合ってるからもっと楽にいけ。」
文化祭まであと1週間。
空夜は京、昴流、俊哉と公園でダンス練習をしていた。
部活後に集まれるメンバーだけでの練習だが、細かいところまでしっかり確認していく。
「うん、さっきよりすごくいい!2人とも自信もって!」
京にそう言われると安心した。
「来週から、完全に文化祭準備だよな?俺らは衣装も各自だし、ずっとダンス合わせすることになるんだよな?」
「そうだね。クラス委員の話し合いで、アリーナを使える時間が決まったから、月曜日に皆にも言うけど……うちのクラスは基本的に6時間目の時間にアリーナを使った練習ができるよ。」
「じゃあその時間は女子と合わせたり、みんなで踊る分の合わせだな。」
みんなで踊る方も京たちに教えてもらいながら仕上げているところだった。
「……なぁ、今更なこと聞いていいか。」
俊哉が言いにくそうに口を開いたので、3人で俊哉の方を向く。
「古森は、文化祭どうするんだ。」
「あ?俊哉聞いてなかったのかよ。」
「え?」
「ふふっ、9月の初めの週に、間宮さんが言ってたよ?自分のグループに入れるって。だよね、空夜くん。」
女子のグループ分けは、いろいろあったようで亜美香のグループが1人多くて7人、琳のグループが5人になってしまっていた。
美紅が入ることで人数比がちょうどよくなった。
「うん。ダンス習ってるって言ってたから、男子は裕貴くんが仕切ってるグループと組んでるんだけど問題ないかなと思って、俺と間宮さんで決めちゃったんだ。」
「そっか。ごめん、聞いてなくて。」
「いやいや!そんなにしゅんとしなくても大丈夫だよ!」
思わずくすくす笑いながらそう言うと、昴流と京も笑う。
「月曜日からの練習はどうする予定なんだ?」
「んっと、鳥谷さんと話してる感じ、女子の進捗がイマイチなんだよね……一緒に踊る部分の完成度が甘いみたいで……俺はそれを鳥谷さんと見ようかなって思ってる。男子は細かいところだけだから、昴流くんと星谷くん中心に、どんどん合わせ練習してもらう予定。放課後は部活の方の出し物がある人もいるし、吹奏楽部は特に忙しいだろうから、6時間目までの練習で仕上げていきたいと思ってるよ。」
「かしけんと瀬戸が不安そうにしてたから、俊哉と空夜にも多少教える側に回ってもらおうかな。」
「うん、それは昴流くんと星谷くんに任せるよ。女子の完成度次第で、俺もそっちに戻るね。あとは植山くんのところのフォローを柊くんとする予定だから、そこもちょっと影響するかも。ごめんね。」
「なんか京くんに負担かけてしまって本当にごめん……」
「空夜くんが謝ることないよ!みんなで協力してやってるし、大丈夫!」
「俺、できることあんまないけど……なんでもやるから。荷物運べとか、そういうの。」
俊哉がそう言うと京はくすくす笑う。
「ありがと、そう言ってくれるだけでも嬉しい。でも俺、結構楽しいんだ。みんなで集まって練習したり、話したりしながら頑張るの、すごく楽しい。」
京がそう言って笑ってくれる。
確かに、この文化祭に向けて空夜もかなり忙しくしているが、楽しいのは事実だった。
「京は偉い。頑張ってる。」
「うん、俺も同感。」
昴流と俊哉から褒められ、肩をぽんぽんと叩かれて京は少し照れた。
「あと少し、みんなで頑張っていこうね。」
「うん、俺も頑張る!」
「京も空夜も、頑張りすぎんなよ。」
「うん、俺も同感。」
「……俊哉、お前ほんとに思ってるか?」
「え?!思ってるよ。本当に同感なんだ。」
あまり表情が変わらない俊哉は、昴流に突っ込まれてもなお、表情が変わっているように見えない。
「はー、まあいいけどな。そろそろ解散するか。」
「そうだね。2人とも部活の後にありがとう。」
「こちらこそ!昴流も京くんも、手伝ってくれてありがと!」
「本当にいろいろありがとう。俺も宏樹くらいできるように頑張る。」
荷物を片して、帰路につく。
用事があるという京と、バイトに行くという昴流とはすぐに別れ、俊哉と2人で駅に向かうことになった。
*
~俊哉side~
(2人きり、久しぶり過ぎないか……)
空夜とはLINEでのやり取りがかなり続いている。
好きなアーティストが一緒だったことが夏休み中に発覚し、新曲の話やライブの話をしているからだ。
しかし、学校などで2人きりになる機会はそうそうない。
それも、野田航とのやり取りを見てしまったあと、初めての2人きりだった。
一緒にいた京はぼかしていたけれど、空夜と航は両思いなのだろう。
けれどあの時の様子からして、航の行動で空夜は傷ついた。
(それなら俺にも、チャンスある。)
卑怯かもしれないが、空夜が揺れているであろう今はチャンスだ。
前よりも仲良くなったし、よく話すようになった。
「空夜……」
「うん?」
「話、あるんだけど。まだ時間ある?」
「え、うん、大丈夫だよ。どうかしたの?」
「ちょっと、大事な話。」
そう言うと、空夜は道の端の方に寄って立ち止まってくれた。
「……野田航と、付き合ってる?」
先にここは確認しておくべきだ。
もし付き合っているのなら、潔く諦める。
「えっ、と……この前の、だよね……?見てたんだっけ……」
「……うん、ごめん。覗き見みたいになって。」
「ううん!廊下なんかで話してたし、見えるよね。それは気にしてない。えっと、で……付き合ってるわけじゃないよ。それが、どうかした?」
「……付き合ってないんだな?」
「え、うん。」
深呼吸して、空夜を真っ直ぐ見つめる。
「俺にしないか。」
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