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~昴流side~
「そういや、俊哉が公開告白したけど、あれ来週以降大丈夫か?」
昴流がそう切り出すと、3人は首を傾げた。
「噂になったり、変に広まったりしないかなって。」
あの場の雰囲気的には大丈夫だろうが、確実に、とは言いきれない。
陸玖にバレると面倒そうだし、クラス内で広まると変な雰囲気になる可能性も考えられる。
「あー……まあ、そうなったらなったでどうにかなるよ。」
「……ごめん、空夜。俺のせいで。」
「いやいや!そんなに落ち込まないで。」
空夜はそう言って笑う。
正直、昴流としてはあそこではっきり言い切ってくれたのはよかったと思っている。
航とのことは空夜が決めるものだと分かっているので、それについて口出しする気は無い。
しかし美紅の態度については話が別だ。
いくら何も知らなくて、悪気がないとしても、あのように皆がいる場所で聞くのはよくない。それも特別仲がいいというわけでもないのだ。
(ちょっとイラッとしちゃったしな、俺。)
俊哉がはっきり答えてくれなかったら、昴流がなにか口を挟んでいたかもしれない。
それはどう考えてもややこしくなるので、俊哉が言ってくれてよかったと思うのだ。
「でも俺、ちょっと古森さんにイラッとしちゃったなぁ。」
そう言ったのは自分ではなく。
「京が?なんか意外……1年の時から、人に怒ってるの見たことない。」
「怒るってほどじゃないんだけど、ちょっとこう……モヤっとしたっていうのかな?イライラよりモヤモヤって感じかもしれないけど……あんなところで、2人は恋人?なんて、聞くことなのかなって思っちゃって。」
「……正直、それ全く同じことを俺も思ってた。」
「昴流も?」
「うん。空夜と特別仲良いわけでもないし、人たくさんいるのになって。俊哉とはほぼ話してないわけだしさ。そういうのってこっそり聞けよって思った。近くにいた野田航と俊哉の面識ほぼねぇし。」
「俺は別に……2人が思ったようなことは特に感じなかったからいい。でも、空夜は気になったか?」
(こいつ空夜のことばっかじゃん。)
思わず笑いそうになるのを堪える。
「うーん、ちょっと困ったかな。イライラとかモヤモヤはしてないけど……まだ告白に返事できてないのにあそこで聞かれて、なんて答えても傷つけちゃう気がして。」
「……まあ、俺も野田もいたら答えづらいし、そうだよな。」
俊哉は空夜が航に告白されていることを知っているのだろうか。
「村田くんって、空夜くんと野田くんのことってどのくらい知ってるの……?」
同じことを京が気になったようだ。
「あぁー、なんか、付き合ってはないんだろ?」
「告白されてんのは知ってんの?」
「あー、まあ。」
「えっ?俺それ話したっけ?」
「いや、まあ……ほら、なんとなく。」
急に歯切れが悪くなったが、もしかしたら告白の場面でも見てしまったのかもしれない。
空夜は知られていると思っていないが、俊哉は見てしまっていて知っている、というところだろう。
「えぇー、すごいなぁ。俊哉くんって洞察力高い?」
「さぁ……?自分ではわかんねぇ。」
空夜はこういうところで察する力がない。
俊哉はピザを口に入れ、これ以上の空夜からの追及を避けた。
「てか陸玖と新まだかよ!」
誘った2人は、A組のメンバーで夕飯だけ食べてから20時頃に合流すると言っていた。現在時刻は既に20時を過ぎている。
宏樹は今日は来られないらしい。
「ん、待って、メッセージ来てた。今から行くって。半くらいにつくって。」
「ふーん、あとちょっとか。じゃあ今のうちに。明後日どうするよ?」
この4人で出かけるという話をしているが、カラオケにしようかということくらいしか決まっていない。
LINEで話すなんて言っていたが、今会っているのだし、陸玖と新を待つ間に決められそうだ。
「まずは場所だよね。俊哉くんと京くんの位置的に、学校らへんがいいかな?」
「そうだな。みんな定期圏内だし。」
「学校の最寄り駅に集合して、それからカラオケ行くか?近くにあったよな。」
「あー、あるある。ここじゃね?」
パッと検索して、地図を俊哉に見せる。
それを見て頷いたので、思い浮かべていた店は同じだ。
「京もここで平気?」
「うん、大丈夫だよ。」
学校の最寄り駅からはさほど遠くない。
京も地図を見て頷いたし、空夜は昴流とほとんど同じなので問題ないだろう。
「じゃあ場所はここで……何時に駅にする?」
「昴流くん、前日バイトなんだよね?確か夜までじゃなかったっけ。」
「あー、や、バイトは夕方までなんだけど、ピアノの稽古の日だから……」
文化祭のため土曜日に出来なかった分を振り替えてもらったのだ。
「じゃああんまり早いときついよね。お昼頃がいいかな?」
「うん、俺もそれくらいだと余裕もっていける。」
「うんうん。京くんと俊哉くんは家少し遠いし、俺も昼からでいいと思うな。」
「んじゃ昼にするか。俺も遅いぶんにはありがたいし。」
「12時に駅くらいでどうだ?」
「いいね。」
空夜と京もOKを出したのでそれで決めて、念の為LINEグループに送信しておく。
それから雑談していると、20時半より少し前に陸玖と新が到着した。
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