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学校一の陰キャが学校一の不良に「諸事情あって」ベタ惚れされた話
第34話 来訪者
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「そりゃあ、大事な幼馴染をどこの馬の骨とも知れない奴に渡す訳にはいかないからね。というわけで金輪際、優に近づかないでくれるかな?」
「……」
「誠、さっきから勝手に決めるなって……」
天宮はそう言いつつ、抱き寄せられていても抵抗はしない。それが普段からなのかは、俺には分からない。ただ、俺のことをあれだけ好きだと言っておいて面白くないことだけは確かだ。
所詮惚れ薬のまやかしなのは分かってるけど……もしかして天宮は、本心では青木のことが好きだったりするのだろうか?
「……分かった」
「春くん……!?」
「元々俺、巻き込まれただけだし……青木が戻す方法見つけてくれるなら、俺は口出す権利ないし……」
言いながら、俯く。天宮の顔が見れない。
「……なんだよそれ……」
駄目だ、これ以上話してたら罪悪感に押し潰されそうだ。でも所詮、こうなったのも惚れ薬のせいなんだから仕方ない。
青木の言っていた通り、俺が無理に責任をとる必要は無いのだ。彼が何とかしてくれるなら任せるしかない。
「それじゃあ……」
「ちょっと待……」
天宮の声が聞こえる。振り返ってしまえば何かが崩壊してしまいそうで、ぎゅっと拳を握りしめて前だけ見て歩く。
「優、これ以上一緒にいたら本当におかしくなるかもしれない。……忘れよう、あんな奴の事なんか」
「ふざけんなよ!俺は俺だ!惚れ薬とか……関係ない、のに……!っ春くん!こっち向けよ……春!」
「っ……」
足が止まる。昔から友だちもほとんどいなくて、家族以外に名前を呼び捨てにされたことはなかった。
……駄目だ。
俺は……天宮の気持ちには答えられないけど。それでも、あいつと離れたくはない。
だって……昨日、友達になると話したばかりじゃないか。
感情を抑えきれなくなり、振り返ろうとした、その時。
「天宮〜!!学校にいるんだろ?オレらと遊ぼうぜぇ〜?」
「!?」
何やら下品な笑い声が、どこかから聞こえてきた。校舎に続く階段には誰も見当たらない。これは……外から……?
「な、何……!?」
「……まさか」
振り返れば、天宮が柵を乗り越えんばかりの勢いで外を見下ろしているところだった。
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