アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
学校一の陰キャが学校一の不良に「諸事情あって」ベタ惚れされた話
第36話 勇気
-
「でも……」
「どうせ俺も君もあんなの止められない……見なよ」
促され、そっと柵越しに外を見下ろす。
丁度よく、正門の方に集う不良たちが見えた。
制服はここの学校のものじゃない、明らかに他校生だ。
先程の口ぶりからして天宮に用があるらしい。ガンガンと校門を蹴り上げたり大声をあげたり忙しない。
「おい、節穴ども!俺はここにいるぞ、さっさとかかってこいよ!」
そこに、早くも天宮が玄関口から走って現れた。その様子は、今まで俺が恐れて近づかずにいた不良そのものだ。
よく見れば、相手の不良たちは鉄パイプなど凶器となりうる武器を持っている。対して天宮たちは手ぶらだ。
「あいつら鉄パイプまで……!このままじゃ怪我するんじゃ……」
天宮がいくら強いと言っても、さすがに無理じゃないのだろうか。
「いつものことだよ」
慌てる俺とは対照的に、青木はなんでもないように言った。
「なんで……そんな落ち着いてるんだよ!?」
「慌てても何にもならないからね。じゃあ聞くけど、君はあれを止められるの?喧嘩を始めた優はね、誰にも止められないんだよ。それに止めようとすれば俺は……見捨てられるかもしれない」
「……」
確かに、俺にできることは何もない。現に今も足が震えている。
仮に間に入ったところで一瞬で倒されるのがオチだ。
「でも……放っとくなんて、できない……!」
「ちょ、ちょっと、佐原くん……!?」
「俺は佐山だよ!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
40 / 71