アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
学校一の陰キャが学校一の不良に「諸事情あって」ベタ惚れされた話
第62話 眩しい笑顔
-
「その……大丈夫、だった?」
「……」
その後は降りる人が多かったのもあり、座ることはできなかったけど一応それなりのスペースを確保することができた。
だから天宮は解放できたわけだけど……それまでのアレはなかったことにはできない。
天宮は俯いたまま何も答えなかった。そりゃあ故意ではないとはいえ電車であんなことされれば恥ずかしいだろう。
「ほんとごめん……」
「いや、春くんのせいじゃないし……ちょっと濡れただけだから」
「……」
ようやく口を開いたと思えば何事もないようにそうさらっと言ってのけたけど、それはそれで問題がある気がする。
その言葉一つで思わず想像しそうになってしまって、好きなアニメのことを考えて必死に追いやった。
「天宮、家どこ?俺、親に今日は遅くなるかもって言ってあるし送るよ」
「……むしろ、俺が春くんを送った方がよくない?」
「うっ……そ、それは」
誤魔化すように言うと、思わぬ正論をぶつけられた。
当然陰キャと不良なら立場は逆だろう。考えてなかった。
……今の状態の天宮といると、彼が不良であると忘れそうになる。
さっきのあの反応だって、不良がしていいものじゃない。いや、偏見か?不良ってみんなそうなのか?混乱してきた。
「……でもまあ、お言葉に甘えて。帰りは気をつけてね?」
「はい……」
かっこつけた俺に気を遣ってくれたのだろう。天宮は笑ってそう言った。
その笑顔は、もう陽も沈んでいるのになぜだか眩しく見えた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
67 / 71