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03
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次の日の昼。
お互いベットの上に座って鏡を覗きこむ。
「ちょっと地味すぎないこれ?」
「そんなことないよ、咲良のイメージを消さないと。というかあのまま華蘭に行くつもりだったの?」
「うん」
「RIONの奴らにサクってばれていいってこと?」
「ああ、なるほど。変装か」
「馬鹿、本当に殺されちゃうよ」
ぐいぐいと撫でられた頭は真っ黒だった。もともと地毛は黒だがⅡに入ってからずっとブリーチで白っぽく抜いていた。前に何故か仲間たちから俺は一緒に行動していて見つけにくいと苦笑いされてそれからずっと白っぽく染めていた。結構好評で連携も取りやすくなったと喜ばれたが今日でさよならだ。
「コンタクトは?」
「痛いからつけたくない」
「本当はつけてほしい所だけど目が充血するのは困るからしょうがないか」
コンタクトは前にどこかの仕事で変装に使ったけど痛すぎたので一生使わないと自分で決めた。裸眼の色は母親譲りの灰色だ。母親は確か北欧の血が混ざっていて綺麗な灰色の瞳を持ち、それを俺も受け継いだ。今の時代カラコンなんて気持ち悪いぐらい種類がある。灰色の目もそう珍しくないはずだ。
「大丈夫だよ。こんなのおしゃれで通せるし」
「まあ、咲良なら大丈夫だとは思うけど」
それでもどこか納得してない顔をする保護者。黒髪の自分は藤之は気づけても、長い付き合いの菜都が気づかないときだってあるくらい認知されにくくなる。だから面倒なことはスルーできるはず。ひっそり生きよう。
「俺、友達とかいたことないけど平気?」
「Ⅱに来てからいっぱいできたじゃないか、彼らは友達じゃないの?」
「どっちかと言うと家族?」
「でも彼らと関係が持てたように華蘭でもできるよ」
じゃあ荷物の手配をしてくるね、と立ち上がる藤之の手を掴んで自分の方へ引っ張る。振り替える藤之の顔は優しく笑っていた。
「咲良、本当に寂しいのはどっち?」
「……俺」
「行きたくないんだ?」
「藤之と会えなくなるのは嫌」
ちゅ、と藤之の手の甲に唇を落とし笑ってみると頭を撫でられた。12才のとき全てを失って空っぽだったときに俺の内側を再生させて満たしてくれたのは藤之だ。そこから依存してる。だからあまり離れたくない。
「会いに来たいときに会いに来ればいいんだよ」
「仕事も続けていいでしょ?」
「いいよ、咲良がいないと菜都が困るからね」
「うん」
「咲良にいろんなことさせてあげたいから、ね?」
「わかってる、いつもありがとう藤之」
手配してくるね、と部屋を出る藤之の見送って、自分も他に持ってき忘れがないか自分の部屋を片付けることにする。もともと部屋にはあまり物を置いていないので段ボールも3つで済んだ。
「……学校通うのか俺」
呟いてハッとする。菜都に何も言ってないや。ズボンのポケットからスマホを取り出して菜都に発信するとワンコールで出た。
「咲良?」
「ねえ、菜都。俺明日から華蘭学園に通うんだって」
「え!何?学校通うの?しかも明日っ?」
「そう、昨日社長から言われた長期の仕事ってこれ」
「はあ、まじか。仕事の内容は?」
「学校で勉強するだけ」
「ぶはっ、さすが社長じゃん。まあ頑張って」
俺は年的に生徒は無理だからね。と笑う菜都。
「てか咲良って何歳なったの?」
「17歳」
「じゃあ高校2年生か。咲良が制服来て学校通うとか結構面白いよね」
面白くないと怒ると彼はさらに笑った。菜都の声に耳を傾けながら自分の部屋にかけてある皺ひとつない制服を見つめる。黒いブレザーで胸の位置に校章が刺繍されていて、ネクタイは学年色の深みのある青、スラックスも黒でよく見ないとわからないがストライプか入っている。遠目からみたらただのスーツだ。
「でも今まで通り仕事はするから」
「そうでなきゃ困るって、浮気するぞ」
「相手もいないくせに何言ってんの。まあそういうことだから、学園についたらメールでもするよ。何かあったらバックアップよろしくね」
「はいはいー学園中のセキュリティ全部ぶっ壊してあげるからいつでも言ってね。じゃあ行ってらっしゃい、咲良」
明日からお仕事開始だ。
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