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ハンカチ
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「内海…!」
なんと俺にぶつかってきたのは内海だった。
「あ、土方先生!す、すみません…怪我はありませんか?」
内海は申し訳なさそうに俺から離れる。
「あ、ああ。内海こそ大丈夫か?」
「はい!」
ニコッと人懐こい笑顔で笑う。
「内海…傘持ってるのになんで濡れてるんだ?」
内海の手にはしっかりと傘が握られているのにも関わらず、内海の髪の毛は濡れていた。
「ああ…途中で傘が壊れちゃって…ほら」
内海は傘を開いて俺に見せた。
「うっわ、すげえな」
内海の傘が見事にボロボロになっているのを確認し、時計を見た。
「内海、時間かなりやばいぞ」
「えっ?!うわあああっ!!」
後二分で遅刻になる時間だった。
「じゃあ、僕、もう行きますね!!」
内海は慌てながら自分の教室に行こうとしたが、何故か反射的に俺の手が内海の腕を掴んだ。
「………え?」
内海は驚いた顔で振り向いた。
「あ…いや…これ…これで髪ふけよ。風邪引くだろ」
俺はポケットに手を突っ込み、ハンカチを取り出して内海に渡した。
内海は最初、驚いた顔をしたがまた人懐こい笑顔になり
「ありがとうございます!」
と言って俺にお辞儀をし、自分の教室へと走って行った。
「あいつの笑顔…反則だよなあ…」
ポツリと呟いた瞬間、チャイムが鳴った。
この時ハンカチを渡していなかったら、内海はあんなことにならなかったかもしれない
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