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第2章ー14 飼い犬の不満 *
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「や、止めろ……、田口っ!」
抗議する保住の顔を覗き込んだ。
「な、なんだよ」
「いえ。嫌がる保住さんもまた、いいなって思いまして」
「はぁ?!」
保住の戸惑いなんてお構いなし。
田口は再び唇を重ねる。
田口の顔越しに見えるキッチンの柔らかい照明が、妙に眩しい。
「……ッ、ん、んん」
唾液が口角を伝わって溢れ出す。
田口を押し返そうとしても、捕まえる場所もないことに気がついた。
何とも不便。
裸にエプロンなんて、勘弁してくれ。
馬子にも衣装ではないが、飼い犬が変な服着せられているみたい。
似合わないものは似合わない。
保住の中では、ともかく夕飯が最優先事項なのに。
田口との認識の差は埋められないというところか。
彼のエプロンの肩紐を捕まえてはみるものの、何の意味もなさない。
田口は遠慮なく、保住の身体に触れてくる。
シャツをたくし上げると、保住の腹部から胸部へと舌を這わせた。
「た、田口……っ」
「怒ってもダメです」
彼は止める気配はない。
こうなってしまったら止められないし、止めるべきではないと言うことも分かっている。
腰に回された腕で身体が引き寄せられる。
「あまり触れてきませんでしたが、ここって、感じるのでしょうか」
田口は独り言ともつかない呟きをしたかと思うと、右の乳首を舐めあげる。
「っ」
「痛いですか?」
「お前のもそうしてやろうか?」
「おれのはいいです」
「じゃあ……」
「やるな」と言いかけるが、再び田口が乳首を口に含むので、言葉を切る。
「、お前な……っ、人の話を聞け!」
敏感な場所だから。
触られると、チリチリとした痛みが襲ってきたのに。
柔らかい舌で何度も刺激されると、そのうちに違う感覚を覚える。
「や、やだ。田口……っ」
「反対はどうでしょう?」
嫌なはずなのに。
精神的にも、肉体的にも疲労が溜まってきている。
判断力も、理性も。
全てがぐだぐだ。
「つッ……っ」
「すみません。でも、止められません。触ってもらえませんか」
エプロン越しの田口は、もうはち切れそうなくらい大きくなっている。
手首を掴まれて、そっと添えるようにされると、つい素直に触れてしまう。
布越しに、そっと。
下から上に撫であげると、田口の吐息が耳を吐く。
情事の間。
彼は彼であって彼でない気がする。
でも、そんな田口も可愛いところがあると自覚している自分もいる。
始まってしまえば、終わるまで止められない。
胸を弄ばれながらも、田口のものを摩り上げる。
ここのところ、忙しくてそれどころではなかったと言うのは言い訳なのだろうか。
ちゃんとご褒美をあげないと、飼い犬は不満を募らせる。
「……ンンッ」
「咥えてやろうか?」
「……保住さん、下手そうだからいいです……」
頬を上気させて田口は呟いた。
「……お前、本当失礼だな……つ」
お互いに相手に触れることはやめずに会話を続ける。
「だって……」
図星だ。
だって、したことないもの。
エプロンごと、ぐいっと握り込んでやる。
「ひっ!な、何するんですか!そんな乱暴な……っ」
田口はビックリして体を仰け反らせた。
「やらせろ。多分下手だと思う、けど……」
偉そうに言ってはみたものの、やっぱり自信がないのではないか。
田口は吹き出す。
「わ、笑うなよ」
「保住さん」
上体を起こした保住の頬に手を当てる。
「その強がり。可愛すぎます」
「馬鹿にして……」
抗議の言葉なんて口で塞いでしまえば問題なし。
そんな勢いでキスを繰り返す。
もう、夕飯なんてどこかに行ってしまったようだ。
キスを重ねてお互いを感じ合う。
二人にとったら至福の時だった。
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