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あれから数年が経った。
今俺の目の前には、屋敷がある。
とても大きな屋敷…
〈………。〉
さて、と…
ここからどうしようか。
身を守れるものは全て持って来た…
屋敷に入るには警備が硬すぎる。
それに、カイトの居場所も定かでは無い。
足には自信がある、万が一があっても逃げ切れるだろう。
けれど…まぁ…そんな気は全く無い。
必ずカイトを連れ出す。
〈あの〜、カイト…君居ます?〉
【は!?】
正面玄関に立ち、スーツにサングラスの男へ喋りかけた。
見ず知らずの者の口から、カイトの名前が出るとは思っていなかったのだろう。
少し反応が遅れたその隙に、持ってきたポケットナイフで動脈を一刺しした。
噴き出した血液が、シャワーのように降り注ぐ…
〈カイト、どこに居ますか?〉
酸素を求め、魚の様に口をパクパクと開く男へもう一度尋ねる。
だかしかし…一言も発さずに息絶えた。
使えない奴め。
こんな所に忠誠心など、ゴミに捨てるようなものだろうに…
遺体を一瞥し、扉を押し開ける。
死ぬのなら、カイトをここからつれだしてからだ。
目の前で銃を構える人間達へ、駆け出して行く。
どれくらい時間が経っただろうか。
誰一人カイトの居場所を口に出さない…
苛立つ気持ちのまま、次から次へと仕留めていく。
特に習ったわけでもないが…
学校の友人達に進められたアクションゲームやら、アニメやら…案外見様見真似でも出来てしまうんだな。
〈ふぅ……〉
粗方仕留め終えた…のか。
そう言えば…カイトのお母さんが見当たらないな…
この騒ぎで逃げたか?
そんな呑気な事を考えていると、背中に何かが当たった。
〈…っ…〉
じわりと血が出る感覚…
気を抜いていた。
刺してきた男は息絶え絶え。
トドメの一発を刺し、その場にしゃがむ。
持って来ていた医療品で、傷口の手当をする…
嗚呼…クソ…
早くカイトを連れ出そう…一緒に逃げよう…ずっと…
何もかも捨てて、二人で…
片っ端から部屋を覗き周るが、一向に見当たらない。
ふ、と窓の外を見る。
そうだ…カイトはここじゃなくて、あっちの塔に居るんだ。
別で暮らしていると言っていた…それならここはもう用無し…
立ち上がり、塔を目指して歩を進める。
迎えに行くよ…カイト。
早くここから出て、二人で逃げよう。
こんな世の中から…
案外広くは無い…けれど中々見つけられず、苛つき始める。
なんとか落ち着かせようと、軽く深呼吸をして目の前の扉を開けた。
この部屋に居ないとなれば…この騒ぎでどこかに連れ出されたか…
〈…ん?〉
洋風な家具ばかりなのに…ここだけ襖?
しかもよく見たら、透明のテープで開けられないように固定されている…
まさか…ここに?
一応閉じ込められているケースも考えていたから、カッターを持ってきている。
取り敢えず、開けてみるしかない。
そう思った瞬間、後頭部に強い衝撃を受けた。
〈…っ!〉
油断していた…っ…
鈍い痛みが頭を木霊していく。
歯を食いしばり、思いっ切り蹴りをかました。
床に転がった相手に馬乗りになって、何度も何度もカッターを突き刺していく。
真っ赤に染まって動かなくなったのを見届け、再び襖と対峙する。
〈………。〉
笑みが零れた。
愛しい彼が…両眼一杯に涙を溜めて、俺を視界に入れている。
俺の天使…
〈カイト、迎えに来たよ…〉
〘はぁ…くん…?〙
〈うん。〉
彼の手を取り、外へと駆け出す。
〈一緒に逃げようか。〉
ここから逃げ出したら、後は楽園だ…
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