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こんなときに限って
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「はぁ……はぁ……」
1人で暗い夜道をゆっくり歩きながら帰る。
時間は夜の11時過ぎだ。
体調が悪いから出来るだけ早く家に着きたいけど、歩くのはこの速さが限界だ。
(……もうすぐ、もうすぐだから……)
必死に自分自身に大丈夫だと言い聞かせる。
頭がフラフラして身体が熱くてだるい。
恐らく媚薬を飲まされたと思われるこの症状。
誰に飲まされたかはもう分かっている。
(玄関だ、ここを開ければ…)
ガチャ、と扉を開ける。
目線を下げるとそこには見慣れた僕のものではない靴があった。
(なんでこんなときに限ってあいつが……)
僕の幼馴染の真也がいる。
その事実だけが分かった。
あいつに媚薬を盛られた事実を知られたくなくてお風呂に直行しようとしたそのとき。
「おかえり。」
遅かった、あいつに声をかけられてしまった。
「な、なんでお前がいるの……」
「俺、千秋の家の合鍵持ってるし。」
「いつの間にそんなもの作ったんだよ。」
「お前の家は便利なんだ。俺が日本にいる期間はそう長くないし、鍵くらい持ってても問題無いだろ?」
「大アリだよ。今すぐ返せ。」
「それは出来ないな。」
正直に言うとこの男がこの家の合鍵を作ってる事実にはずっと前から気付いていた。
別にこの男に勝手に触られて困るようなものは置いて無いし、好きな男に家の合鍵を持ってもらえるのがただ嬉しかった。
でもまさかこのタイミングで来るとは思わなくて、過去の鍵を回収しなかった自分に後悔した。
「……お前、少し体調悪そうだな。」
「別にそうでもないよ。お風呂入ってくる。」
「待て。」
「!?」
「嘘をついても無駄だぞ。俺達何年の付き合いだと思ってるんだ。」
「……ッ…」
予想通り彼に嘘は通じなかった。
せめてただの風邪と思ってくれと願う。
でもやっぱりそんな願いも叶わないみたいで。
「体調が悪いのにお風呂に行こうとしたところを見ると、もしかして媚薬のようなもの盛られたのかと思ったんだけど。」
「………だったら何?」
「その手の震えじゃ自分で処理するのも無理だろ?」
「そ、そんなこと……」
「ない、とは言えないよな?」
「……うん。」
彼に指摘された通り手の震えはすごかった。
今の僕に逆らう気力なんて残ってなくて、大人しく彼の言うことを聞くことにした。
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