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無駄に思える朝の全校集会が終わり、生徒たちはぞろぞろと体育館を出て行く。遥(はるか)とその級友たちも無論、その内であった。
「そういやそろそろこの間の期末テストの順位出たんじゃね?」
そういえばそろそろだね、と遥は相槌をうつ。
この私立高校では進学校を自称するだけあり、勉学には力が入れられている。競争心を煽るためか知らないが、定期テストの採点が終わった一週間以内程で成績上位者10名が紙に掲示されて発表される。
「どうせまた遥載ってんだろ?」
「どうかな?」
笑いながら受け流したが、それなりの自信があった。
一年の時から数えて計六回のテストを受けたが、全て掲示には遥の名前が無かったことは一度も無い。
「ついでに見て帰ろうぜ」
そうだね、と遥は頷いた。
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二年の教室が並ぶフロアの中央階段の突き当たりはやたら生徒が集まってごった返していた。
「どれどれー。うわ、やっぱりあんじゃん」
八位の欄には『清水遥』。確かにそうあった。
「あはは、リョウちゃんは無いね」
「惜しかったなー。多分僅差だったわ」
お前なんか在るわけないだろーと騒ぐ仲間を見ていた視界の端に、ふらっと人影があった。
人混みをふらりと抜けて行くその後ろ姿は、教室がある南棟ではなく、準備室や使われていない教室があるだけの北棟へ向かっていた。
雑談をしている生徒たちはその姿を気にも留めない。
燻んだ黒い髪をした、壇上にいた彼、だった。
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