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駄々
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「先生、終わりました」
「ん、サンキュ」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・なんですか、先生」
「え?あ、いや・・・」
アイコンタクト、失敗。
彼は小野孝之。
正直、謎の人物である。
とても表情に貧しく、感情が読み取れない。
そして・・・
「おい、先帰んぞ孝之」
「あ、待って」
不思議なことに鈴原と仲が良い。でも性格は全く似ていない。
まぁ、似ていないからといって仲が悪いとは限らないが。
「あれ?先生どうしたんですか?」
今度は後ろの方から明るく元気な声が聞こえた。
予想はしていたが、やはり清水だった。
「なぁ清水。あの二人って仲良いよな」
「へ?あの二人ですか?まぁ幼馴染みですからねー」
「?お前、あの二人のことよく知ってんのか?」
「はい。私、彼らと中学一緒なんですよ」
そういえばそうだった気がする。忘れていた。
「あっ、私も早くしないと置いていかれる!斗真ー、たっちゃーん、待ってー!」
清水がそう言うと、鈴原は不機嫌そうに振りかえった。
「は?てめぇは一人で帰れ」
「えー、私も一緒に帰っていいよねー?たっちゃん」
「沙織なら、いい・・・」
「わーい、ありがとー!」
「なっ・・・孝之てめっ!」
そして三人は仲良く(?)帰っていった。
よし、ではこちらも補習を始めるとするか。
・・・・・・・
「おぉ・・・!」
「で、これが・・・って何してんだ?お前」
何故か篠村は自分のノートに感動したかのようにずっとそれを眺めている。まぁ真面目にやってくれるのは嬉しいのだが。
「小林!お前本当に頭良いな!」
「おい、それは教師を馬鹿にしているのか?それとも俺自身を馬鹿しているのか?あと先生つけろ敬語使え」
「まぁまぁ、そんな怒んなって」
お前が俺を教師として扱ってくれれば怒る回数もかなり減ると思うがな。
俺は心の中でそう思った。
「あ、そういえばお前、来週から補講だな」
「は、何それ」
「補習と同じだよ。でも来週の方はお前以外も来るから安心して行くといい」
「まだあんのかよ・・・」
「仕方ないだろ。一ヶ月後には期末考査なんだから」
「・・・・・・・・」
篠村の顔色は次第に悪くなっていった。
「・・・まぁ頑張れ」
「・・・嫌だ」
「え?」
「ぜってぇ行かねぇ!!」
「はあ!?何言ってんだお前は!」
「っ・・・そんな大人数でやりたくねえ」
子どもの駄々みたいなことを・・・。
ってことはつまりあれか、このままが良いってことか。
・・・面倒くせぇ奴。
なんでそんな奴に勉強を教えてやっているのだろうか。
「・・・わかったよ。このままでやるって言っておくから」
「・・・・・・・・」
そして補習を再開した。
篠村はそれきりほとんど喋らなかった。
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