アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
epilogue
-
俺は変わらず、毎日志貴の見舞いに行った。
互いの身を守るためと、
単純にそばに居たいという理由で夏咲を連れて。
「ねえ、じゅん。今だから言えるけどさ。
…俺、本当はΩになりたかったかも。」
想像もしていなかった志貴の突然の言葉。
「いきなり…何を。」
「…今まで意地やプライドが邪魔をして、
対等といえる人はじゅんしかいなかった。
俺のお願いは命令で、俺の意見は絶対。
仲良くなりたくても、きっとみんなは俺に気を遣って、俺と仲良く”してくれている”だけ。
それがわかっていたから…っ、本当はずっと…苦しかった…っ。」
恋人という関係をやめてから、志貴はよく泣くようになった。
それだけじゃない。
少しずつ素直になって、弱音を吐くようにもなった。
はじめは弱った身体から来るものだと思っていたけれどーー。
きっと今まで
志貴は周りを取り巻く人間から寄せられる期待に応えようと、必死になっていたんだろう。
プレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、なんとか自分を保って、
人に頼ってはいけない、頼れない。
そんな性格のせいで、たくさんストレスを抱え込んでいたんだろう。
そしてその原因を作っていたのは他でもない、
俺自身だったんだ。
しがらみから解放された志貴は、
これまでより人間らしくなった。
恋人じゃなく、幼馴染として。
大切な友人として、そんな志貴を支えたいと思った。
これも一つの愛の形だろう。
夏咲へのそれとは違う、曖昧なものだけど。
それに気づかせてくれたのは
本当の愛を教えてくれたのは、きっと。
fin.
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 13