アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
11*最後の希望
-
「……まって、アリスさん。」
「んっ、なに……?」
バッと後ろを振り向いた。
運転中に何馬鹿なことしてって思われるかもだけど
そんなことはどうでもいい。
アリスさんの瞳いっぱいに溜まって、
もうすぐ零れ落ちそうなそれを見て
ある一つの噂を思い出した。
パンデミックに侵されたαの身体を、唯一救える薬…。
「今泣かないで、アリスさん!
健太の家、もうすぐなんでそれまで我慢して!」
馬鹿な僕の頭の中で、何かが結び付きそうなんだ。
…もし僕の勘違いだったらそれまで。
だけどアリスさんの涙は、奇跡を起こしてくれるかもしれない。
健太の顔色がわかりやすく変わるとき。
それはいつも、アリスさんが関係していた。
わかりにくい健太の、
わかりにくい愛。
このご時世、休むことなく仕事を続けた健太の本当の思い。
アリスさんがそうであるように、
もしかしたら健太も本当はアリスさんの事を…。
「着きました。ここの203号室が健太の家です。
…スペア預かってるんで、これ使ってくれて構いません。」
「…え?山内君は?」
「僕も後で行くんで、先にアリスさんが行ってあげて。」
「…ん、わかった!ありがとう、山内君!」
駆け出したアリスさんの背中を目で追った。
どうか僕の大切な友達を、
救ってください。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 18