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短編
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「ふわぁああ」
午前10時…か。
「遥、少し起きるのが遅すぎるのではありませんか?」
「いやどこがだよ。休日に10時起きなんてまだいい方だぞ」
「まだ眠いのですか?」
「そりゃあな…この国の社会人は皆働きすぎだ」
「遥もその内の中のひとりです」
「でも逆らえないからな。それに」
そう言ってじっと傍に立つ雨依を見つめる。
「遥?」
「いいや何でもない。」
顔を背けると、ギシッとベッドが沈む音がする。
「遥、僕も一緒に寝てもいいですか?」
雨依はそう言い横たわる俺の隣の布団の中にもぞもぞと入ってくる。
「おいこら、でかいやつが狭いベッドに侵入してくんな」
「遥が小さいので大丈夫です。」
「…お前の悪気のない発言が1番傷つくわ」
「すみません。わざとじゃなかったのですが」
「知ってるよ。お前は馬鹿みたいにストレートだからもう慣れた」
「僕はいつでも遥を可愛いと思っています。」
「…」
「気分を害しましたか?」
「いや別に。それもお前なりの愛情表現なのかと思ってな」
「はい。そうです。僕は遥を愛しています。」
…可愛いはもしや雨依なりの親に対する愛情表現かもしれないと百歩譲ってそう思ったが、子が親に愛していますは、なんか流石に違う気がするような…。
「遥は僕を愛していますか?」
「…おい何俺の体に腕を巻き付けてるんだ雨依、あつい」
「…」
「……。…愛してるから、雨依のことは」
「本当ですか?」
「ああ。だから早く腕を解けっっ」
「ツンデレなんですから遥は」
「はあ!?どこでそんなカタカナ言葉覚えてきたんだお前は!」
「朝食…いえ昼食を作ってきます。遥の好きな卵料理にしてもいいですが何かリクエストは?」
…食えん子どもだぜ我ながら…。
「じゃあオムライスで」
「遥は本当にオムライスが好きですね〜。」
「なんだよその笑みは」
「いえ。まるで子どものようだと思いまして」
「大人をからかうな中学生がっっ!」
「怒らないでくださいよ遥、今すぐ作ってきますから。では」
ったく…雨依のやつ。いつの間にか俺の背を追い抜かして俺をからかうようにまでなって。
「つまり大きくなったってことか。」
それっていいことだよな。当然。俺は少し笑みを顔に浮かべながら瞳を閉じた。俺はその後すうと再び意識をなくし眠りへとついた。
「遥」
「…」
「遥、寝てるんですか?」
「…」
「困った人です。この短時間に再び寝付くとは」
「…」
「無防備です、遥。僕が愛してると言った本当の意味を貴方は知らない」
「…」
「…待ちますよ。貴方が親としていたいその時まで。」
ちゅう
「この寝顔はずっと貴方の子である僕だけのものですよね、遥」
この人の為に生きます。明日も明後日も、貴方のために僕は僕を生きます。例え世界中から批判されても僕は僕として存在し続けます。彼を、この人を守ってあげられるのは僕しかいないから。
(可愛い寝顔です…。)
「遥、早く僕のことを、子ども以上として認めてください…。」
早く…僕を一人の男として見て。
早く、早く。
僕は早くこの世で大人と呼ばれる歳になりたい。
貴方と同等で並んで歩く、その為に。
貴方を僕が守る、…その為に。
[完]
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