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レイとのやり取りはしばらく暗号で続いた。
彼らの目的は主にβとΩの保護で、国軍が攻撃的な態度をとった際、彼らも応戦するらしい。
つまり仕掛けているのは常にこちらで、彼らの行動は正当な防衛手段なのだ。
クーデターを起こす合図は、イーリスが出すという方向にまとまっていた。
タイミングを見誤れば一貫の終わり。
また、ふさわしい方法も選択しなくてはならない。
しかし、薬の完成が近い以上、悠長なことも言っていられない。
国軍の中で、イーリスが信用できる人間は一人もいなかった。
本当なら、仲間を作り、内からも切り崩したいが、国軍は基本的に熱狂的な王信者か、王の権力に怯えるΩだ。
イーリスが自部屋でため息をついたその時だった。
カン、カン、カン、カン
四回の鐘の音。
軍緊急招集の合図だった。
「こんな深夜にどうしたんだ?」
「さあ…」
集められた護衛たちはざわざわしていた。
そこに王が現れる。
イーリスは、思わず眉をひそめた。
王は上裸で、Ωのフェロモンの強い香りが漂い、奥の部屋の扉の隙間からは乱れたΩが見えた。
イーリスはΩの顔を見た瞬間、心臓がヒヤリとした。
あれは、FRΩに所属していた男だ。レイが送ったと言っていたスパイのことが頭をよぎった。
「やつらがネズミを忍び込ませてきた。」
「スパイですか?!」
「そうだ。しかし、哀れなものだ。Ωであったからな。しつけるのは簡単だったぞ。」
ドクン、と心臓が跳ねる。
あのΩは、もう駄目だ。
"しつけ"をされれば、王なしでは生きていけなくなる。
「しかし、ここまでのさぼっているとはな。そろそろ手を打とうと思う。今から、FRΩの拠点を襲撃しろ。場所はすでに吐かせた。好きに蹴散らしてこい。レイ以外は、殺そうがなぶろうが咎めない。ただし、レイだけは生け捕りにして来い。薬の使用も厳禁だ。わかったな。」
「「はっ!!」」
イーリスも皆とともに拠点を目指す。
どうやって、伝えられるだろうか。
今向かっていることを、スパイがばれたことを、賢いレイなら、察してくれるような手法はないだろうか。
頭をフル回転させて、イーリスは特殊な笛を吹いた。
この笛の音は、Ωにしか聞こえない。
今ここにいるのは、αのみ。王宮のΩは皆眠っていた。
賭けるしかなかった。
自分の勘に。
自分のαとしての本能に。
最初に触れた時の、あの感覚に。
レイが、自分の番となるはずの、運命遺伝子のΩであることに。
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