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作戦決行日。
FRΩは王宮に向かっていた。
建物の影を縫い、屋根の上を跳び、王宮の手前の森までたどり着いていた。
そこでいくつかに別れ、レイは1人で進んだ。
王宮内部への入口は3つ、王座の間にたどり着くまでに4重の門がある。
南門、西門、東門、それぞれ中に進むにつれ、警備は固くなり、4番目の門にはイーリスなどの国軍幹部が控えている。
南門が王座の間に1番近いが、レイは西門に向かっていた。
西門は1番手前の門に門兵がいない。
難なくそこを通り抜け、2番目の門に迫る。
2番目の門には1人門兵がいた。
レイは薬銃に催眠薬を装填し、狙いを定める。
一撃で仕留めると、門兵はすぐに眠りについた。
その上を飛び越え、3番目の門を窺う。
ここには3人。
門の手前には橋があり、今は降りている。
まず手榴弾を投げ、1人の門兵を誘い出す。
この手榴弾は催眠ガスを出すものだ。レイはもちろんガスマスクをしている。
「……おい?どうした?」
バタリと倒れた門兵を追って、もう1人こちらにやって来た。
その兵にも催眠薬を打ち込み、最後の兵が警戒しているところの背後に忍び寄り、気絶させた。
ここまでは予定通り。
あとは4番目の門に誰がいるか。
幹部級の兵の中にもランクがある。ここであまり消耗したくない。
全意識を集中させ、4番目の門に忍び寄る。
(……兵が、いない。)
レイが罠だ、と気がついたその瞬間、パン、パン、と連続して赤い煙が打ち上がった。
これは今回の作戦において、失敗した時のみあげることになっていた狼煙。
2つあがったということは、南門も東門もダメだったということだ。
「ちくしょう、バレてやがった!」
レイは後ろから大量に押し寄せてきた兵に向き合うと、薬銃2丁に毒薬を装填する。
それを片手に持ち替え、後ろに向かって手榴弾を1つ投げた。
バルコニーから弓を射るつもりだったのだろう兵士がその爆発でドサリと地面に落ちる。
「レイ、今すぐ投降し、大人しく国王陛下の元に行くのなら、誰も殺さない。」
国軍の隊長。
レイの幼馴染を殺したαの男だ。
「……そんなの信用できねえ。」
「イーリスも、お前付きの護衛にしてやろう。これは国王陛下のご意向だ。お前さえこちらにつけば、今ここに攻めてきている反逆軍も、イーリスも、お前の望むとおりにしよう。」
イーリスが協力者であることまでバレている。
レイが迷ったそのときだった。
「撃てーーーッ!撃て撃てぇぇぇ!!怯むなァァァ!!!」
鼓膜を突き破らんばかりの大声。
普通南門からここまで届かないだろう、とレイは苦笑する。
「……お生憎様。うちの隊長は、そういう取引が大嫌いなんでね。」
「捕らえろ。」
向かってくる兵をレイは次々に撃つ。
薬銃だけでは装填が間に合わず、弾丸銃も持ち替えて使い、靴に仕込んだナイフで首をかっ切る。
「全員引け!」
国軍隊長の一声で、兵士の動きがパタリと止まる。
「ぁ……レイ、さん……」
FRΩに所属するΩ。まだ13歳のその子が、注射器を首にあてられ、震えていた。
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