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「あと何時間で着く?!」
「1時間です!!」
「それでは日の出が……」
東の隣国、タイアニーナの国王は、砂漠の道を急いでいた。
ジャパニア国、国軍兵士のイーリスからジャパニア国王のαのみの国を作り上げるという計画を聞いたからだ。
そんな計画が上手くいってしまったら、世界のバランスが崩れる。
βやΩの存在は生態系にとって重要で、消してはいけないものだ。
リミットは日の出だと、イーリスは言っていた。
イーリスはクーデターは日の出までに決着がつくだろうと言った。
ジャパニア国の国民を助けるためには、何としても日の出までに間に合い、イーリスに加勢しなくてはならなかった。
*
「その子を離せ。」
レイの低い声に、国軍隊長は満足そうに笑う。
「お前が大人しくついてくるなら、何もしない。」
「ダメですレイさん!!こいつら、こいつらっ……レイさんをっ……」
目に涙をいっぱい浮かべて、少年は首を振る。
注射器の中身はおそらく法外な興奮剤。少年はまだ発情期を迎えていないから、体が壊れる。
レイがそれを見抜くとわかっているのは間違いない。
国王はどうしても、レイが欲しいらしかった。
「どうする?レイ。俺はあまり気が長くない。」
ニタニタ笑う男に吐き気がする。
しかし年齢だけ見ても、自分よりあのΩが守られるべきである。
そう思い、薬銃を捨てようとした。
瞬間、注射器がパリン、と割れた。
「なっ?!」
「レイ!!!」
イーリスの放った銃弾が真っ直ぐ注射器を射抜いていた。
「レイさんっ!」
駆け寄ってきたΩを抱えあげるとイーリスの横まで跳んだ。
「日の出に落ち合う予定だったろうが。」
「……計画が全部バレていたから予定を変えた。隣国のタイアニーナの軍隊がこちらに向かっている。日の出まで耐える、そうすれば、我々の勝ちだ。」
「はっ、上等。お前、ここに来てるΩを連れて逃げろ。あとは俺らでなんとかする。国民に被害が及びそうになったら、お前らが守れ。いいな?」
「はいっ!!」
少年はすぐに走り出す。
レイとイーリスは、顔を見合わせると、カウントダウンを始めた。
「「0。」」
2人で下に飛び降り、多数の兵相手に銃を撃つ。南門の軍勢がFRΩ優勢でこちらに押されてきていた。
「イーリス、日の出まで何分ある?」
「15分。もう乱戦だ。」
背中合わせにイーリスと話す。
軍勢は混ざり合い、薬銃も撃ちにくい。
「……おい、イーリス。王サマはどこいった?」
「え?さっきまで西塔から……」
そう、先程までは、レイもそこに国王の姿を見ていた。
だから警戒しつつも、あそこからは何も出来ないだろうと安心していたのに。
「お前にしては、気づくのが遅かったな。」
パン、という乾いた音と、その声はほぼ同時に聞こえた。
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