アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
10
-
(ああ、隣国の……)
イーリスが応援を要請したという、タイアニーナの軍勢だった。
タイアニーナ国の王章、太陽と鷹の紋様があしらわれたジャケットを着た兵士たちがジャパニア国軍を制圧し始めている。
おそらくこの後、ジャパニアはタイアニーナに合併され、国は滅びる。
しかし国民は皆、救われるだろう。
「……れ、い…」
か細い声に、振り返る。
思うように動かない体で、這うように、イーリスの傍によった。
「は、あぅ、イー、リス……おまえ、なんで……きづいてた、だろっ……」
「……うん、ごめん…レイ…」
イーリスに手を握られる。
それだけで、体が悦んだ。
王の血液など足元にも及ばない。
イーリスの肌に触れただけで、どうにもならない熱が体を渦巻く。
「っう、ぅぁ……」
涙が勝手に溢れてくる。
今にも零れ落ちそうな命を示すかのような、冷たい涙。
「Ωたちをすぐに保護しろ!」
やけに遠くに聞こえた声。
レイはイーリスの隣に倒れ込む。
意識が遠のく。
発情期は、運命遺伝子に誘発される。
もし運命遺伝子の相手が死ねば、誘発された発情期も急速に落ち着くことになる。
(熱い……苦しい……)
「まだ……」
ただ熱いこの体だけが、レイとイーリスがまだ"生きている"ことを証明していた。
END
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 11